2018/11/08

株式会社ジェダイト イメージキャラクター発表

株式会社ジェダイトのイメージキャラクターを発表します。
キャラクターデザインは小説、イラスト、着物、古代史と多彩に活躍されている長緒鬼無里(ながおきなさ)さんにお願いしました。下記ウェブサイトでチェックしてみてくださいね。
http://nagaokinasa.wixsite.com/kinasa-nagao

5人の名前は、データエンジニアリング(品質工学、統計手法)をご存知の方ならピンとくるでしょう。(^_-)-☆
 SIGNA(シグナ)
 NOISA(ノイーザ)
 ANOVA(アノーバ)
 OPTMA(オプトマ)
 MAHALA(マハラ)

今後、この子たちがいろんなところで活躍してくれると思いますのでお楽しみに。



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2018/10/02

何の議論をしているのかをはっきりさせよう

 学会や研究会、あるいは企業内でのディスカッションで、品質工学と題するテーマでさまざまな議論が行われる。テーマの種類やその中での論点がいろいろあるのはよい。しかし、限られた時間での議論では、話が発散したり、一人ひとりが異なった論点で発言したり、話がかみ合わなかったりして収拾がつかなくなることを多く見てきた(もちろん、自分がお手伝いしているコンサルやセミナーではそうならないように、論点や用語を整理して場をコントロールしているが)。

 品質工学と題するテーマ(広くものづくり一般のテーマでもよい)では、だいたい以下の4つのレベルの話(の一部)が混在しており、本人も整理できていないことが多い。相談者・発表者はこれを頭にいれてプレゼンすることで、聞き手に無用の混乱を起こすことなく、自分が得たいアドバイスを得ることがしやすくなる。ただし、LEVEL3,4 の相談をした結果、LEVEL2や、そもそもLEVEL1はどうなのか、という本質論に話が遡及することもある。

 大事なことは、より上位のレベルがないがしろにされ、手法の枝葉末節議論や、目的と手段のはき違えになっていないかに留意すべきである。いくらばらつきの少ない製品を効率よく作ったとしても、それが売れなければ全く意味がないのだから。

LEVEL1 事業性の問題・・・コンセプトデザイン
 その製品やサービスがお客様に受け入れられて、製品が売れ、もうかるのかどうか、事業が継続できるのかどうか。つまり、企画の問題である。「よい品質」とは、顧客の要求に合致していることに他ならないので、すべてのスタート点はここにある。手段ではなく、どのような機能、どのような効用の製品やサービスを提供していくのかというテーマである。管理技術ではQFD(品質機能展開)、アイデア発想法、企画の7つ道具などがそのツールとなる。市場調査の手段として、IoT、ビッグデータ、AIを活用するデータサイエンスの分野も喧しい。なお、品質工学では「よい品質」における「価値・効用」の部分を扱っていない点が残念である。

LEVEL2 実現性の問題・・・システムデザイン
 顧客の要求が分かり(あるいは想定でき)、目標とする製品やサービスが定義できれば、次にそれを技術的に実現する必要がある。いわゆる研究開発による機能の実現、性能・エネルギー効率の確保の問題である(要求性能に信頼性が含まれることも多い)。これはできるだけ企画に先行するほうがよい。新しい方式を立案(発明、流用)し、どのような方式が良いのかを比較検討する。コンピュータシミュレーションや部分的なプロトタイプによる実験も含む。技術者の固有技術、知識、経験、センス、意欲などがモノをいう。管理技術では、TRIZ、アイデア発想法などがそのツールとなる。信頼性の机上検討ではFMEA、FTAなどの信頼性工学を活用する。原理やメカニズムを解明するフェーズでは実験計画法や統計的手法を用いることもある。

LEVEL3 評価の効率化の問題・・・機能性評価
 考えたシステムの妥当性(特に機能の安定性)を効率よく確認できなければ、それを効率よく比較・改善することはできない。また、開発・設計の初期段階では、性能は見えても信頼性や寿命が分からないことは多い。長時間の信頼性試験、寿命試験に頼らずにこれらを短期間で見極めることは、開発の効率化に大きく寄与する。また、規定期間内に多くのトライアンドエラーが可能となり、性能や信頼性のレベル向上にも寄与する。管理技術では品質工学の機能性評価(機能定義、ノイズ因子、SN比)がそのツールとなる。

LEVEL4 改善の効率化の問題・・・パラメータ設計
 同じシステム内においても、寸法や材料などの設計パラメータの条件変更により特性(ばらつきや平均値)を改善できる場合が多い(特に初めて採用したシステムの場合)。設計パラメータの条件の組合せの評価を効率的に行いたいというニーズがある。そのため直交表を用いることが多いが、一部実施実験である直交表での最適条件(候補)がはたして、実際の(仮想的には全条件を実施した場合の)最適条件と一致するのかどうかが問題となる。これを再現性という。すなわち、どこまで改善できるかはLEVEL2の基本設計にかかっているが、それを効率よく改善できるかどうかは、LEVEL3の評価の問題と、LEVEL4の再現性の問題である。管理技術では品質工学のパラメータ設計(機能性評価に加えて、直交表、要因効果図、確認実験、その他再現性確保のための手法)などがそのツールとなる。

 これ以外にも詳細設計に入ってからの各スペックのバランスやトレードオフの問題もある。これらはLEVEL1,2に問題があることも多いが、多目的最適化や許容差設計の分野となる。事業ありき、システムありきでの仕事が中心の場合、このレベルの課題が出てくることは確かである。詳しく知りたい方は弊社のセミナーやコンサルを利用いただきたい。

2018/09/04

社内研修(セミナー)の総合案内を作成しました

御社で開催する設計品質・統計技法の研修・セミナーサービス
総合パンフレットダウンロード(外部ストレージ)

お問い合わせ
https://data-engineering.co.jp/contact/

あらゆるレベル、製品分野、部門、日数/時間にお応えします! 

● はじめての品質工学 1日間
品質工学初級 2日間(解析ツール付き)
パラメータ設計応用(解析ツール付き)
● 工程管理・自動検査のためのパターン認識(MTシステム)
設計品質エキスパート 6か月
統計技法の基礎 12コマ
● 実験計画法2日間  など

実施形式
通常の講義形式で、40名様程度まで受講可能(一部コースで人数制限あり)。
コースにより、100名様規模まで対応可能な、講演形式での実施も可能です。

費 用
1日(6時間)につき240,000円+消費税+旅費実費。テキスト・ツール類費用、日当
等の一切の費用を含みます。見積書をお問合せフォームよりご用命ください。

いずれのコースもご希望により、事例相談(コンサル)を含めることができます 

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2018/09/01

研究会の機能は?

「研究会の機能は?そのあるべき姿は?」というディスカッションをしました。そこでの所感。

研究会にはいろんな人がいろんな目的で来ています。業務での困りごとを相談したいひと、新しい知識を身に着けたい人、仲間との懇親を図って飲みに行きたい人・・・。
研究会にはこのようなコンサルセミナー、サロン的な機能確かにもあるのですが、「研究会」の本分はその名の通り、研究・発表を通じた品質工学の学問としての発展でしょう(図参照)。

本当に事業成果が欲しければ、わずかな参加費で中途半端なアドバイスを受けるのではなく、プロにコンサルを依頼すべきでしょう。また体系的に知識を習得したければプロのセミナー、講義を受けるべきなのです。

言いたい人が言いたいことを言って留飲を下げるのも自由ですし、だんまりで情報を取るだけに回るのも自由なのですが、研究会の場合自由であるがゆえに、その結果何をどう生かすか、何を持って帰るか、その結果がどうなるのかはすべて自己責任ということです。相談に乗っているメンバーも親切心からとはいえ、プロとは限らないし、結果責任を負った発言をしているわけでもありません(もちろん中にはすばらしいアドバイスもあります)。よほど初歩的な話なら別ですが、そもそも課題の前提条件や環境などもすべて聞いているわけでもないし、時間の制約もあるので、研究会での問題解決は無理で、中途半端になります。

研究会は研究の場、発信の場であることをもう一度再認識して、10年前に研究会から発信したような(エネルギー比型SN比など)、研究を後進のメンバーにもチャレンジしていただきたいと思った次第です。



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2018/08/11

いかにして設計品質推進リーダーを育てるべきか

 株式会社ジェダイトでは目先の問題解決だけでなく、設計品質推進リーダーを育成することを念頭においたお手伝いしています(その中で必ず定量的な効果も示していく)。
 設計品質推進リーダーとは自ら課題が設定でき、その解決にむけて適切な手段を用いながら自ら実践、周囲を牽引できる人で、後進を育成できる人のことを指しています。その条件として、以下を挙げています。

 ①設計品質改善へのマインドがあり、後進育成の意欲があること。
 ②自ら設計品質改善活動(現状分析~提言~解決のPDCA)を経験したことがあり、さらにそれを継続していること。成功体験も重要だが、途中での失敗トラブルにあたり、考え抜き、それを最終的には打破すること。
 ③解決のための豊富な知識(手法や社内・社外の相談窓口・リソース等)を持ち、それを生かせること。

 一般的には上記の条件を満たすような人財は中々おりません。放っておいても伸びる人はごく一部です。そこで、リーダー候補をトップダウンで任命し、計画的な教育を中期的、継続的に実施していくことが必要になるわけです。

 上記①~③のマインドとスキルを身に着けるためには、ひとことで言えば「経験」と「気づき」を得られるようなプログラム(講演、セミナー、実習、課題調査、実践指導)が必要です。

 またこのような活動を継続していくためには、社内での大目的の共有と各階層での得心、しくみの構築、成果見える化が必要となる。つまり1期単位の成果を数値(金額)で示し、それを積み上げていくことにより、幹部に活動の理解を得て、活動リソースを継続的に供給いただくことが必要なため、そのようなサポートも行っています。

 このような活動を真剣に取り組みたい会社さんと、ご一緒に頑張りたいと思います。
ご興味あるかたはご連絡をお願いいたします。


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2018/08/10

機能の考え方が徹底的にわかる!「機能の考え方とその分析」講座

新しいセミナーのお知らせです。某大手電機メーカで実施して大好評でした。

 巷の講座では「機能」そのものについてだけ、時間を割いて詳しく説明されることはあまりありません。本セミナーでは基本に立ち返り、製品の設計品質の未然防止において重要な“機能”の考え方とその分析方法を理解し、設計・開発に役立つ各種設計・品質手法(品質工学(機能性評価)、QFDの品質表、TRIZなど)との関係を学びます。
 つまりこれは、どのような設計・品質手法にも共通する、技術者としてのベーススキルです。

 2月(2回)の構成で1回目は座学と演習、その後各自の担当製品での機能分析の課題が課され、2回目にその内容にいてディスカッションを行い理解を深めます。講師による課題添削つき(15名程度まで、要相談)。

 標準的なプランで、1日6時間×2回。1回目と2回目は1か月程度空けていただきます(課題実施、講師添削期間)。

 費用は、2日間の講演料+受講人数に応じた課題添削費用+旅費実費です。参加予定人数をお知らせいただければ、お見積りします。
お問い合わせ
https://data-engineering.co.jp/contact/



<標準的な1月目のシラバス> ※2月目は課題発表・講評&ディスカッション
1.機能と機能の“見える化”
(1)  機能とは何か
 機能とは「ユーザの要求」や「エネルギー・情報・物質の流れ」
 機能を考えるメリット
 機能の“見える化”のメリット
 機能の表し方①~(主語と)動詞と目的語で 「(掃除機は)ゴミを収集する」
 機能の表し方②~入力と出力で 「電力に応じたゴミ収集量を得る」
(2)機能の“見える化”の種類と使いどころ
 機能系統図~製品に必要な「ユーザの要求」を樹形図の形で洗い出す
 機能ブロック図~製品全体をエネルギー・情報・物質の流れの関係性でとらえる
(3)機能の“見える化”の方法と留意点
 流用設計の場合と新規設計の場合(モノから考えるか要求から考えるか)
 空間軸の展開と時間軸の展開(対象の性質や展開目的によって使い分け
 エネルギー、情報、物質で考える  


2.機能や機能展開が役立つさまざまな手法
(1)研究開発段階での製品構想と開発対象の絞り込み~品質表
(2)製品設計段階での品質リスクのチェック
  ~FMEA(故障モードと影響の解析)/DRBFM(故障モードに基づくデザインレビュー)/XCN(クロスチェック付きなぜなぜ分析)
(3)設計評価段階での市場品質のチェック~機能の安定性評価
(4)価値=機能/コストの分析と改善~VE(価値分析)

3.機能分析演習
 数名のグループで同一の製品で、機能系統図と機能ブロック図の作成課題に取り組む。対象製品は、適度に複雑で受講生もユーザとしてなじみのある「電気掃除機」とする。
 課題では流用設計の場合で、「各要素の機能」から「全体の機能系統図(空間で展開)」を作成し、その上で「エネルギーと物質の機能ブロック図作成」を実施。またこのアウトプットが「開発・設計業務のどんな場面でどのように役立ちそうか」を議論。最後に各グループ代表が発表。講師が全体講評。

2018/08/09

【今日の言葉155】

エネルギーと情報の投入こそ秩序を生み出し、物質を人間の役に立つ形に組織化させる。
(ジェームス・スキナー)

これはまさに「機能」のことを言っていますね。機能とはエネルギーや情報の変換・加工・伝達であるからです。そして、その機能のインプットには「意思」があります(品質工学では信号といいます)。思いと英知というエネルギーや情報をインプットとすることで、役に立つアウトプットが出てくるということです。思いの力の重要性もここに含まれていると思います。

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2018/06/18

AI(パターン認識)による地震予測に想う

2018年6月18日の朝8時ごろに大阪北部を震源とするM5.9の地震があった。最大深度は6強。現在のところ大きな被害の情報は入ってきていないが、1995年の阪神淡路大震災以来となる大型地震に肝を冷やした(筆者の住む伊丹では震度5弱)。

弊社の営業は通常通り再開しているが、業務も手に付かないので、地震予測についての雑感をまとめる。

東京大学名誉教授の村井俊治博士らが研究している、電子基準点(GPSによる地表面の3次元的な動きの測量)を用いた地震の予測がある(この技術には品質工学のMTシステムも併用されているとのこと)。2万人以上の読者がいる地震予測のメール配信サービスや、著書「地震は必ず予測できる!」、週刊ポスト2018/5/4号の記事などでご存じの方も多いかもしれない。

いつどこでどのくらいの地震が発生するかの正確な”予知”は不可能としても、危険なエリアや可能性を示唆する地震の”予測”なら可能かもしれないと、社会的使命で難しい課題に取り組んでいる(地震学者などの専門家とは異なり、国等からの研究費の支援はなく、メルマガ等の収入で賄っている)。

画像は週刊ポストの特集記事に掲載されたAI地震予測MAPである(著作権の都合上、必要部分以外は粗くしています)。


「なんだ、大阪の地震は当たってないじゃないか(6段階中レベル2のエリア)」と思われるだろう。確かに、気の毒なほど当たっていない。またこのような予測をセンセーショナルに書き立てて雑誌の売り上げを稼ごうとする出版社の態度が気に食わないという人もいるかもしれない。

この結果を見て「やっぱり地震の予測は無理だ」というのはとても安易な態度である(過去なら核の平和的利用、現在進行形なら自動運転などに置き換えてもよい)。また専門家自身も「予測はできない、メカニズムの研究に集中する」と言っておいたほうが予測できなかったことに対する非難を避けやすい(多くの専門家=地震学者は血税で研究費を賄っている)。

地震予測の進歩や実用化が難しいのは事実である。それには3つの側面あるようように思われる。以下はその難しさを説明しながら、我が国は、新しい地震予測の可能性を排除すべきでないという論を展開するものである。
※村井博士の研究は例として述べるまでで、特定の研究を擁護する意図はないことを断っておく。

1つめは予測そのものの難しさである。地震はカオス的な現象であるため、地震学者(主に目に見えない地下の動きを研究)はすでに匙を投げている。しかし現象がカオス的であるからといって、まったく法則がなにもないわけではない。個々の事象が全く予測できないランダムな事象でも、そのマクロなふるまいは予測できるというのが統計学の教えるところである。現状では地震を予測するパラメータが足りない、まだ見つかっていないだけと考えるほうが健全である。従来の地震の研究にこれ以上血税をつぎ込むのは正しくないのかもしれない。しかし難しいからできない、新しいこともやらないというのでは科学技術の進歩は望めないのである。村井博士の研究は、従来とは異なった前述の電子基準点のデータを使用している。これがベストだとかそういうことを言いたいのではない。今後ほかのアプローチも出てくるだろう。新しい技術の可能性を排除する必要は全くない。問題は実現可能性と、それが達成できたときの効果、研究開発に要する費用の見積もりである(現状、新技術による地震予測に対して国の予算はついていない)。

2つめは予測と結果に対する評価の難しさである。正確言えば数値による評価は可能であるが、それを受け止める側の感じ方の問題である。例えば地震予測においてエリアや期間を区切って、ある震度以上の地震が起こる平均確率が1/1000であったとしよう。つまりデタラメに予測した場合の的中確率は1/1000である。デタラメな予測にくらべて100倍も精度の高い”すごい”予測技術ができたとしても、1000回中100回”しか”当たらないのである。もともと発生確率が少ない現象の予測なので、相当予測精度が上がっても、やはり外れる「回数」はとても多いのである。これは感覚的には「ぜんぜん当たらい」と感じる。しかし10回のうち1回でも巨大地震の予測が当たれば多くの犠牲は避けられるのである。前述の村井博士は著書で「私たちは予測が外れることを恐れない」と言っておられる。大地震の予兆が出ているのに発表せずに多くの犠牲が出ることを避けなけなければならないと考えているからだ。受けて側が外れた回数にミスリードされて批判すると、発信者側もコトナカレ主義に傾きがちになる。回数や確率ではなくコストによる損得計算の方法が必要である。10%の実害による損失よりも、90%の取り越し苦労のコストは十分小さいはずである。
なお、そもそも当たっていない=有意でないものを当たったと吹聴しているようなもの、まったく計算が間違っているのに当たったというもの等は論外である。地震予測研究も玉石混交である。このようなことは、データのねつ造などが無い限り、統計的な検証で容易に真贋を確かめられることは付け加えておく。
(※文中の数値説明のための仮定の数値)

3つめの要因は多様であり下名の知識や文章力では整理しきれないのだが、各方面からの研究開発への停滞圧力である。たとえば科学技術コミュニティの内外におけるコミュニケーションギャップ、権威に対する過信、新技術に関しての過度な恐れ、あるいは既得権等による研究開発の停滞である。「専門家ができないと言っている」「予算の無駄づかいだ」「危険だ」「社会的合意が得られていない」「既存の利益を侵害する」等の理由でさまざまな分野の科学技術の研究が停滞している(遺伝子、医療、核など)。地震予測についても、専門家である地震学者が匙を投げており、国も新規の地震研究に対して研究費を予算化することに及び腰になっているのである。しかし専門家があきらめるのは勝手だが、「できない」ことを証明したわけではないのである。理由2でも述べたとおり、世論やマスコミや政府の中で「当たらない」という印象が強まってしまえば、「地震予測はムダ」という合意が形成され、仕分けの対象にされてしまうことも避けられない(新技術による地震予測にはもともと予算はついていないが)。地震予測の研究は、スパコンのような国際競争とは異なり、地震大国であるわが国固有の問題としてその是非を考える必要がある。

現在実現されている便利な世の中は、このような過去の科学技術に寄与した研究者やエンジニアの功績、それにリスクを受容してきた世論によって支えられていることを忘れてはいけない(もちろん、科学技術の負の側面を無視するわけではない)。計測技術やそれを扱うデータエンジニアリング(AI等)は日進月歩である。地震予測についても実用に足るような予測用の観測データや観測技術、解析技術が生まれる可能性は今後まだまだあると感じている。建築物や社会インフラの安全性・堅牢性、避難場所や経路、食料品やエネルギーの備蓄、国際協力等の対策とともに進めていくべき課題である。

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2018/6/18 大阪北部の地震に関する安否

2018年6月18日07時58分ころ、大阪府北部を震源とする地震(マグニチュード5.9)が発生しました。
株式会社ジェダイト社員および事務所の無事は確認済です。通常通り営業しております。近隣の方々、引き続きお気を付けください。

http://www3.nhk.or.jp/sokuho/jishin/index.html?id=JSA0180618075838_20180618080738

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2018/05/26

技術者向け統計手法教育のご案内

 メーカ様から要望の多い、統計手法教育も実施しております。すでに大手メーカー様でも実施実績のあるセミナーです。

 まったくの統計手法の初心者の方を対象に、全12回で「仕事に使えるスキル」を学ぶことができます。数式中心ではなく、日常的な事例を用いて考え方を理解できるほか、エクセル演習を通じて「使える力」を育みます。


 御社に訪問して数名~30名程度までを対象に講義、演習を実施します。演習では弊社提供のExcelツールを使用し、セミナー後も自由にご使用いただけます。

 月2回で6か月、月1回で12か月で修了できます。もちろん、QC検定(2~3級)対策にも最適です。

標準的なプランで、1日3時間講義・演習+オプションで1時間個別相談の3時間または4時間です。
(1回1日~2日の訪問で2~4コマまとめて実施することも可能)

お問い合わせ
https://data-engineering.co.jp/contact/

<標準的なシラバス>
第1回 統計的手法の概要(考え方、学習のメリット)
第2回 データの種類、データの変換、母集団とサンプル、基本統計量
第3回 QC7つ道具、工程能力指数
第4回 管理図、正規分布と確率
第5回 大数の法則、中心極限定理、平均値の信頼区間
第6回 平均値の有意差検定、t分布
第7回 2つの分散の比の検定、F検定(分散分析へのブリッジ)
第8回 実験計画法①:フィッシャー三原則、平方和の分解、自由度、一元配置(繰り返しなし)
第9回 実験計画法②:一元配置(繰り返あり)、二元配置(繰り返しなし、あり)
第10回 実験計画法③:直交表の場合、品質工学(パラメータ設計)との違い
第11回 相関分析(単回帰分析)
第12回 重回帰分析、T法

2018/05/01

統計で対人関係を理性的にとらえる

某社での統計手法講座で管理図や信頼区間の話をしている。
その時の雑談でこんな話はどうかと。

■■■ 統計で対人関係を理性的にとらえる ■■■

人生はいろんな出来事がランダム(運しだい)で起こることが多い。対人関係では、相手の感情もσで揺らいでいる。

したがって、相手の平均的な性格や態度より、良いことや悪いことが当然起こる。時には、つまらないことを言われたり、いやな態度を取られて腹が立つこともあるかもしれない。

そのたびに一喜一憂して有頂天になったり、思い悩んだりすることはムダである(管理図の考え方と同じで、いちいち原因を追究する必要はない)。

相手はたまたま何かで機嫌が悪いのかもしれない。二日酔いで気分がすぐれないだけかもしれない。何かほかのことをかんがえていただけかもしれない。

今回はたまたま平均より低い値をつかんだと考え、少し長い目で平均で見てあげよう(つまり、サンプルをとって平均値を推定しよう)。

その上で普段より対人関係の平均値が下がっていると感じれば、原因を探して対策を講じればいい(管理図で異常が見つかったときの処置と同じ)。

中長期的に対人関係の平均値を上げる(成長する)ためには、対策が必要である。コミュニケーションの改善など、自身の能力開発に努めよう(技術開発による改善と同じ)。

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2018/04/20

トヨタグループの品質工学(2011年まで)


(一社)日本品質管理学会中部支部・産学連携研究会編:「開発・設計に必要な統計的品質管理~トヨタグループの実践事例を中心に」, 日本規格協会 ,(2015).

少し前の本だが、このような本が発刊されている。
トヨタグループの編著者として、トヨタ自動車㈱ TQM推進部、サービス技術部、試作部評価技術室、さらにトヨタ車体㈱ 副社長、顧問、経営企画部 といった、そうそうたる面々が執筆されている。

この本の25章にトヨタグループの品質工学(および応答曲面法)の推進について、かなり本音で書かれており興味深い。以下はその要旨である。

・ロバスト設計手法として品質工学と応答曲面法を研修。
・登録された36件のテーマのうち半数の18件が取り下げまたは未着手。主な理由はテーマ登録時の手法と目的のミスマッチによる。
・上記の対策として、品質工学を適用しやすい領域などを受講生に案内し、可能な実験回数などを事前アンケート。
・動特性108回の実験が可能かの質問に対し、33%が不可能、20%が分からないと回答。
少ない実験回数しか実施できない受講生には、応答曲面法の受講を勧めた。
 ※ガイドラインとして、実験回数が50回以下しか実施できない場合、応答曲面法を推奨している。
・上記を実施しても、受講後3か月後の品質工学実施率は19%と低い値になった。その後の改善状況は記載されていない

このブログの読者であれば、何がまずいかの指摘はできるかと思う。
おおむね以下のような感じでしょうか。

・テーマをボトムアップあるいは担当者の目先の問題意識で選ばせている。
 したがって、本当に重要な問題に取り組んでいない(研修のためのテーマ)ケースが多くなり、リソースが与えられなかったり、他業務が優先されたりする(実施率が低い)。
・品質工学という手法を当てはめようとしている。推進事務局が品質工学を適用させることを目的としている。
・品質工学=直交表の実験との先入観があり、108回の実験が必須と考えている。
・品質工学と応答曲面法とを実験回数で使い分けている。
 ※これらの手法は目的も効用も異なる(鶴田注)

品質工学等の品質設計手法の活用には、別の対応が必要と考える。
これについては下名の著書株式会社ジェダイトのHPやセミナーでもいろいろお話ししていることなので、ここでは割愛する。

なお2012年以降は、品質工学会幹部の指導により品質工学の活動は仕切り直されているとのことで、ここ数年は学会発表も盛んである。今後の動きに期待したい。

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2018/03/20

スペクトルデータの場合のSN比の考察(2)

(その1から続く)

 この例に限らず、累積データで解析するのは間違いというのが、筆者の一貫した立場である。

 データを横軸に対して累積するということは、データを平均化してしまうということである(累積値は、使用したデータの平均値×データ数である)。横軸の波長ごとの出力の違いが評価に反映されにくいことになる。これは横軸が期間や時間の場合でも一般的に言えることである。したがって、売り上げなどのデータを期間で累積して、ゼロ点比例のようなデータに変換して解析するのもまずいという意見である。

 平均化されて、ばらつきの情報が失われるばかりではない。スペクトルデータにおける波長の小さい側と大きい側の重要度に優劣はないはずである。λ=400nmの強度データとλ=800nmの強度データの重要度は同じであり、公平に評価されなければならない。しかし累積した場合には、短波長側のデータは累積数が少ないためにデータの絶対値が小さくなってしまい、SN比の評価に反映されづらくなってしまう。仮に長波長側に大きなピークがあれば、その波長の様子が大きくSN比に反映されてしまうことになる。

 また物理的、技術的にも問題がある。出力強度を波長ごとに累積した値に、いったいどんな物理的、技術的意味があるのだろうか。かりに横軸が時間のようなものであればまだ理解できるが、異なる波長ごとに反射・吸収した光の強度(材料種=構造によって変わる)の足し算である。品質工学とは、対象を技術的にあるいは物理的にとらえ、対象の品質(機能の安定性)を評価する学問ではなかったか。その点でも、「形がゼロ点比例風になればいい」といいうのは、あまりにも本質を忘れた、形式的な考え方と感じてしまうのである。
 ※MTシステムの場合は予測できれば何でもよいので、任意のデータの和などの項目を作成することは許されてよいだろう。これは再現性とは別の話である。

 では100歩譲って、上記の累積値に技術的な意味があるとしよう(実際、横軸の物理量によっては意味がある場合もある)。そのような累積値でSN比を求め、再現性もあったとしよう。つまり、SN比の改善に効果のある制御因子(スペクトル分析の場合、分析条件)が見つかったとしよう。さて、この場合の有用と思われる前記の制御因子は、あくまで「累積値データのN1、N2条件の違いを安定化する」効果があるものである。平均値相当のものが安定したということである。しかしこれは、おおもとの目的であった、「各波長ごとで出力強度が安定していること」を保証しない。波長ごとの強度のばらつきが大きくても、累積や平均であれば誤差(率)は小さくなるからである。したがって、累積値で再現性があり、有用な制御因子が見つかり、最適化をしたとしても、データを累積前のオリジナルに戻した時に、果たしてばらつきが改善されているかどうかということである。これはかなり怪しいと言わざるを得ないだろう。累積データが安定していることは、オリジナルのデータが安定していることの(かなり限定された)必要条件でしかない。特に、短波長側のデータは必然的には改善できないだろう。

 オリジナルのスぺクトルデータを用いて評価した場合の再現性の問題は、評価特性の悪さに起因するのであろう(制御因子の交互作用の問題も、おおもとを辿れば評価特性の問題であることが多い)。材料分析のような分析化学的なスペクトルデータでは、波長λの強度データと、λ+Δλの強度データではまったく異なる意味をもつ。材料種によってわずかなΔλの違いでピークを持つため、精密な材料分析が行えるのである。同じ材料を計測してスペクトルデータが横軸方向にもずれてしまう現象は、分析機器側のメカニズムとノイズの作用に起因するものである(材料は固定なので実際にλがシフトするわけではない)。そのような分析機器のメカニズムや働きに立ち返った「機能」の考察が必要である。


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スペクトルデータの場合のSN比の考察(1)

 昨年秋に参加した品質工学シンポジウムのあるテーマで、このような事例が議論になった。

 対象データはスペクトルデータである(図1のイメージ、筆者がフリーハンドで描いたもの)。横軸は波長(他に波数、周波数など)がとられることが多く、縦軸は出力の強度(intensity)である。例えば材料分析の場合に、材料に光(広い意味で電磁波)を当てて、そのときの反射や吸収の強度を、横軸の波長別に走査することで、材料に特有の波形(スペクトル)が得られる。これにより材料が何であるのかを特定する。

 このようなデータをノイズ因子(測定環境)N1、N2のもとで測定した場合、どのようにSN比を求めるかという問題である。

 普通に考えれば、それぞれの波長における基準波形[=材料ごとにあらかじめ精密に測定され、データベースとなっている]が信号となるが、ここでは標準SN比の考え方でN1とN2の出力Yの平均を使用する(これでも以下の議論に支障はないし、いつも基準波形が得られるとは限らないため)。

 問題は、このようなスペクトルデータの場合、N1とN2が縦(出力)方向にずれるばかりではなく、横(波長)方向にもずれてしまうということである。そのため、波長条件によっては頻繁にN1とN2の出力の大きさが入れ替わってしまうことが考えられる。

 N1とN2の出力の平均Y0を横軸(SN比計算のための信号)として出力Yのグラフを描くと、図2のようなイメージになる(フリーハンドで描いたもので図1には実際は対応しない)。このようなデータのもとで標準SN比を求めると、再現性が悪いらしい(発表者談)。


 そこで発表者は、図1のスペクトルデータの強度Yを横軸の波長方向に対して累積させたデータに変換させたという。つまり、N1条件のデータをY11,Y12,Y13,…,Y1kとすると、1つめのデータはY11、2つ目はY11+Y12、3つ目はY11+Y12+Y13、…という具合である。これによりデータは必ず単調増加となる(Yij≧0のため)。したがって、N1とN2のそれぞれの累積データを、これらの平均値を横軸としてプロットすると図3のような、一見すっきりとした形になる(これも筆者がフリーハンドで描いたイメージ)。

 発表者は、これでSN比を計算すると再現性が上がったという。果たしてこれでよいのであろうか。その2に続く。

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2018/03/07

直交表と品質工学⑨

まとめ 品質工学で使用する実験計画

1.パラメータ設計の内側直交表(制御因子)
 ・L18直交表を主に、L36、NOA18 など
 ・交互作用を因子の効果に交絡させて交互作用の有無(下流の再現性)をチェック

2.パラメータ設計の外側直交表(ノイズ因子)
 ・L12を主に、素数べき型のL4、L8を使用することも
 ・ノイズを調合(N1,N2)した場合は、信号因子とは多元配置(2元配置になる)

3.MTシステムの項目診断、項目選択
 ・素数×4型(L12、L20・・・)を主に、素数べき型も

4.殆直交表はNOA18以外ではQEでの使用例はあまり見かけず

5.SSDは多数の因子の荒いスクリーニングに使えるとの報告もあるが、最終的に直交表での下流再現性確認が必要なため、最初から直交表を用いるのが望ましい。

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直交表と品質工学⑧

過飽和計画(Super-Saturated Design)

表の自由度より因子の自由度が大きい場合をいう。
 cf. 通常のL18直交表 表の自由度17>因子の自由度15(未飽和)
 cf. L18+B’ 表の自由度17=因子の自由度17(飽和)

以下の例では21因子を12行の表に割り付けている。
殆直交表よりさらに直交性は低いが、多くの因子を少ない実験数で検討できる(正確な要因効果は無理)。
開発当初の因子のおおまかなスクリーニングに使える。


SSDのS/Wデバッグへの適用がQES2009で紹介されている。
QES2009-No.80 「ソフトウエア開発の基本機能」 松坂 昌司
※独自に「計画的欠番法」と言っている。

L36直交表のうち12列を抜き出した計画(SSD)でも、2因子の組み合わせの網羅率が95%と高いことを示した。
さらに過激に行数を減らしたものもある(L36-9行、L36-4行など)。




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直交表と品質工学⑦

殆直交表(NOA)

完全には直交していないがそれに近い表。
http://www.designcomputing.net/gendex/noa/
にいろんなNOAがあるので参照されたい。

下の例はNOA15(5^1*3^5)
各列の水準の相関係数を求めると,B~F列でやや直交が崩れているのがわかる。
列の自由度は4+2×5=14なので、直交表の自由度15-1=14と一致しており、「飽和」している。


A列とB列の交互作用列B’を加えたL18+B’列も殆直交表である。
B’列は交互作用A×Bが現れる。応急的に9因子目を割り付けることがある(A×Bがない場合)
BとB’列のみ直交していない。




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直交表と品質工学⑥

直交表とその種類
分類2:交互作用がいくつかの列に分散して現れるもの

・素数×4型(2水準系)・・・L12(2^11)
・2水準と3水準の混合型・・・L18(2^1*3^7)
・どの2列の交互作用がどの列に現れるか?
  交互作用が複数の列に表れるため線点図に表示できない。
  どの列に現れるかは詳細な解析が必要。
  cf. L18直交表の交互作用の解析は例えば、宮川:「品質を獲得する技術」
  特例として、L18の1列(A),2列(B)の交互作用のみ、ほかの列との交絡なく求めることができる。

・交互作用が分散することを利用して、
  外側のノイズ因子の割付に利用
  ソフトウェアのデバッグに利用
  多数の因子のスクリーニングに利用

・交互作用を制御因子に交絡させて、
  制御因子の交互作用の有無をチェック(パラメータ設計の確認実験)
  制御因子間の交互作用があると、下流で要因効果が再現しない可能性が高い。




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直交表と品質工学⑤

直交表とその種類
分類1:交互作用が特定の列に現れる もの

・素数^n型は基本的には特定の列に現れる・・・L16(2^15)の例
・どの2列の交互作用がどの列に現れるか?
 ⇒「線点図」を見る
   L16(2^15)直交表では、例えば、4列と15列の因子の交互作用は11列に発生する。したがって、11列に別の因子Zを割り付けた場合は、因子Zの効果と4列×8列の交互作用とは分離できない(=交絡する)。
  直交表の下部に表示されている「成分」を掛け算して求める。
  4列の成分c×15列の成分abcdの積は、abc2d→c2=1より、成分はabd→11列と分かる。
・交互作用を含めた要因効果を求めたいなど、現象究明的実験に用いられる。
・機能性評価の外側因子(ノイズ因子)に使用される例もある(非素数べき系L12などのほうがベター)。
・主効果の抽出が目的のパラメータ設計の内側直交表(制御因子)には用いないほうがよい。


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直交表と品質工学④

直交表とは

一番簡単なL4直交表の例
・表の縦列の数字1~4は、実験ナンバー
・表の行にある因子A~Cは、実験条件を指定する因子名
・A1、B2などは、因子の条件を2つの値(これを水準という)に変化させて実験することを示している
・このように当てはめることを「直交表に割り付ける」という
・X1~X4は、実験ナンバーごとに指定された条件のデータ

直交表の性質
・実験ナンバー1と2の条件を足してみると・・・(2×A1)+(B1+B2)+(C1+C2)となり、因子Aに関してはA1だけを使うが、因子BとCに関しては1と2の値を両方使うことなる。
・因子BとCの効果は、1と2で打ち消されていると考えると、実験ナンバー1と2のデータの和には、因子A1の情報しか含まれていないと考えられる。
・同様に、実験3と4のデータの和には因子A2の情報だけが、実験1と3のデータの和には因子B1の情報、実験1と4のデータの和には因子C1の情報だけが含まれている。
・このようなお互いに対して独立している性質を「直交している」という。
・4個のデータから3個の因子の効果が計算できる。実験に直交表を活用すると、非常に効率がよく、広く用いられている。


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直交表と品質工学③

多元配置(総当り)
・もっとも基本的な直交実験
・(ほぼ)すべての主効果・交互作用が求まる
  ※求まらない場合もある。
   ①実物実験で実験誤差と交互作用が交絡する場合
   ②下記の例では、残差eと交互作用A×Bとは分離できない


因子Aに反復をいれてランダム化すると自由度が増えて、分離できるようになる。


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直交表と品質工学②

「直交」とは?

①実験計画の直交性: 因子の水準組み合わせが同じ回数出てくる場合、その計画は「直交している」という→「直交配列」

②因子の効果の直交性: 2因子の効果の足し算で総合の効果が表せるとき、その2因子の効果は「直交している」(交互作用がない)という

③上記の①②が成り立っているとき、直交表のすべての列の因子の効果が正しく推定できる。→大幅な実験数削減が可能。

④交互作用がある場合は、それが現れる列を空けておけば推定できる。空いていない場合は、その列の因子の効果と分離できない(交絡する)。

⑤上記の②成立の場合、直交配列以外でも効果の推定可能(殆直交表)。

JIS Z8101-3「直交配列」の定義
「因子のすべてのペアに対して、因子水準について考えられる処理組み合わせが同数回現れるような処理組み合わせの集合」。
総当り(多元配置)、一部実施(直交表)の区別はない。

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直交表と品質工学①

実験計画法では、いろんな意味で「直交」という概念がでてくる。

・実験計画が「直交」・・・組み合わせが同回数→ex.直交表
・要因(因子)の効果が「直交」・・・効果が独立⇔交互作用
・成分が数学的に「直交」・・・2乗和の分解(分散分析、SN比)
・成分が物理的に「直交」・・・エネルギー保存則(有効エネルギーと有害エネルギー)

今回は主に、「実験計画における直交、直交表」を中心にご紹介する。
以下に直交表を中心としたさまざまな実験計画の分類を示す。


ほかに、応答曲面法などの分野で用いられる「複合計画」「Box-Behnken計画」「最適計画」などもある。

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2018/02/19

MS社の入社試験問題と言語分析哲学?

Facebookのお友達の中で少し盛り上がったので、こちらに転載して少し考察を。

窓を作るMS社の入社面接で以下のような問題がでたそうだ。筆者は、問題の意図が分からず、そのまま「30じゃないの?」と思ってしまった(浅はかダネー)。
※この次に答えが出てきますので、考えたい方はここでいったんストップ!

出典:KADOKAWA社「笑う数学」より

クイズを出すことがこの投稿の意図ではないので、最初にこの本に載っていた回答を要約すると、
「高さが最大となる直角三角形は、直角二等辺三角形なので、斜辺が10cmだと高さは最大で5cmとなる。したがって高さ6㎝の直角三角形は存在しないので、求められない。」
というものです。

筆者の印象は「くそぅ!ひっかかった!」という素朴なもの。
この投稿に対してのFacebookでのコメントはさまざま。

①「ひっくり返した時に6が9に見えるので10×9÷2をしてしまうとか?」
②「 何で企業面接で、小学生レベルの問題を出してきたのかと(コンテキストから)警戒できるかどうか。正答に至らなくても、その辺りは観察したいところです。」
③「平面上では成り立たない。条件を満たす曲面が存在するのでしょうか?(誰もユークリッド平面とは言ってませんヨ、的な)」
④「答えを確認したあとは、『もしどうしてもこの問題を通して答えを出さなければならないとしたら、私だったらどうするかな。』とおもいました。」
⑤「そもそも無い物をキッパリと求めなさい。と言うのは、問題のクオリティ面でアウト。」

みなさんさすがですね。①はユーモアセンスあり、②は出題のコンテキストを疑う、③④は隠れた前提が無いかまでさかのぼって考える、⑤は存在しないことを指摘した上で、語用論的な批判に及んでいます。これらは「30」と即答した筆者よりも何歩もリードしていると言えるでしょう。

で、気になったのはここから。⑤は非存在を指示対象とする批判で、言語哲学的です。
「現在のフランスの王はハゲ」のように「文章中の指示対象(現在のフランスの王)が存在しない場合、その文章は意味を成すのか、真・偽の値をもつのか」という問題はラッセルの記述理論で一応の解決を見ています。「有意味かつ偽」という結論です(もちろん批判もあります、特に今回の問題のような命令文については)。

MS社はひょっとするとそこを突いているのかもしれません。そこで、受験者は下のように答えることで目的を達成できる=自分の優秀性をアピールできる可能性があります。

受験者「その問題文前半の『この三角形』は『Xが図示された直角三角形であり、そのようなXが存在する』の省略形です。これは偽なので、問題文前半は偽となり、それを指示する後半の命令文『Xの面積を求めなさい』を実行することはできません。」

これぐらいの変人、いや論理学やメタ思考を操れる人間でないとこの会社には採用されないのかもしれませんね。

…しかし、これでは説明がくどいし、ユーモアのセンスに欠けるのではないか。

そこでMS社のそっけないユーザインターフェース風に、以下のようなエラーメッセージを一言ぶちまけてはどうだろうか。

受験者「オブジェクトが見つかりません。」

2018/01/29

【今日の言葉154】安易に目先の問題に飛びつくな

「宙ぶらりん」の状態に耐えてこそ、たどりついた結論が確固たるものになる。
(中西輝政「本質を見抜く考え方」より)

 私は「答え」や「道具」を教えるタイプのコンサルではありません。まず徹底的に現状の分析と課題の抽出を行います。しかもそれをコンサルタントが行うのではなく、お客様(技術リーダー格、またその候補の方)にやっていただきます。当方はそのお手伝いをするだけです。コンサルが企業さんの問題点を決めつけて指摘したりはしません(視点やヒント、道具を与えることはしますが)。なので、場合によっては本質的な問題が見つかるまで何か月もかかります(最初からそういうスケジューリングをしてます)。お客様は悩んで、考えつくすことになります。「気づく」までやります。

 当然、依頼した企業の責任者の方は「まだ問題に着手しないのか」、「まだ成果がでないのか」とやきもきします。こちらもその雰囲気を感じて、問題に見える点を指摘して、さっさと解決に向かいたい衝動にも駆られます。成果が出なければクビの世界ですから。

 しかし、信念をもってこの「宙ぶらりん」の状態に耐えないといけません。現状分析や課題抽出のところを中途半端にやると、本当の「登るべき山」に登れないからです。間違った山に登ったところで成果は出ませんし、出たとしても小さな成果が一度きりです。最初から道具を用意してそこに当てはめる、というのもモッテのほかです。

 また、コンサルに指摘された問題を、指導された方法でやるというのは、「やらされ感」しか生まれません。その時はやっても(やったふりをしても)、そのあとはやらないでしょう。自分たちの目で見て考えた「本当の問題」について、自分たちが主体的にやる気にならなければ、実行はおぼつきませんし、リピートや定着につながらないと考えているのです。課題が確定してから、道具のことを考えればよいのです。どのような課題にも対応できるように、コンサルは道具の引出しは多数持っておく必要があります。

 イノベーションを阻害するのは、短期的成果を求める経営者である、とはよく言われることです。お手伝いするコンサルの側も気を付けなければなりません。今お手伝いしている企業様でも、じっくりと「膿を出している」ところです。

※個別課題の相談はスポットコンサルでお受けしています。


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2018/01/27

【今日の言葉153】一人で過ごす時間の重要性

静かに休日を過ごすと、嫌でも自分と向き合わざるを得ない。
(ユダヤの聖典「タルムード」より)

このあとに、こう続きます。
「それができない人ほど自分を忘れるために忙しく遊ぶことになる。それでは自分を創ることはできない」

ぼうっと何もしないという過ごし方は苦手ですが、一人で本を読んだり、写真を撮りに旅に出たり、神社を巡ったり、ふらりと酒場に入ったりするのは好きです。本を書いたり創作したりする作業も個人プレーの方が得意で合作は苦手。友人と会うときも二人のことが多い。社交的に見られますが、不特定多数の方と群れて過ごすのはあまり得意ではないですね。


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2018/01/19

2種類の誤りがある場合のデジタルSN比とオッズ比は同一(3)

(前投稿からのつづき)
分離システムの評価指標は、有効成分(または有害成分)について排出口#1と#2で経済的な差があっても変化しないことが望ましい。経済的な差に対する校正は分離システムのSN比とは別の問題だからである。

※寄与率ρを用いて評価する、デジタルのSN比は、システムの品質の問題と、校正の問題が分離されていなかったので、田口氏自ら間違いを指摘し、修正した経緯がある。
「実験計画法第三版」24.2.4節(p.684)
「SN比の計算問題は、式(24.27)で解けたと思ったのが筆者の大きな誤りであった。式(24.27)には、校正問題すなわちソフトウェアの考慮が欠けていたのである(以下略)」

ここで、排出口#1に気泡Bが混ざるのは品質上の損失が大きい(それを防ぐのがこの分離システムだから)が、排出口#2に液体Aが混入する損失は小さいとしよう(収率が少し下がるだけだ)。

排出口#(回収側)において、液体Aが一単位得られる利得をa、気泡Bが一単位混入する損失をbとする(0<a<b、イメージ的にはa<<b)。排出口#2(廃棄側)については、液体Aを失う損失は前記の利得a(の消失)で、気泡Bを回収できる利得は前記の損失b(の救済)で表現されている。

オッズ比による利得/損失比
ηT''=10log[(a*yA1*yB2)/(yA2*b*yB1)]^2
  =10log(a/b)^2+10log[(yA1*yB2)/(yA2*yB1)]^2  (db)

デジタルのSN比による利得/損失比
ηTa=10log[(a*yA1*yB2)/(yA2*b*yB1)]^(1/2)
  =10log(a/b)^(1/2)+10log[(yA1*yB2)/(yA2*yB1)]^(1/2)  (db)

いずれも経済性に関係する第1項の成分だけがSN比に加えられるだけで、a,bの値によってSN比の相対比較には影響をおよぼさない。すなわち、校正(損失を最小にするための許容差設計)とは独立した、システムの品質評価の尺度になっている。

なので、システムを改善する際(パラメータ設計で最適水準を選ぶ際)には、統合されたこれらのSN比をそのまま使用してよいことになる(利得と損失のSN比を比べてトレードオフを取る必要はない)。

これらの式では損失金額を計算するときに、真数部[ ]^n が金額に比例するようにもとの単位系を調整するなど、留意する必要がある。

最後に注記しておくと、先の細川氏の報文でも述べられているように、yB1=0(回収側の気泡を0)を目標とした場合、これは校正の問題ではなく、高度な分離システムの品質改善問題である(報文では「開発活動」と言っている)。校正で可能なのは、一定の分離システムの品質において、上記の利得と損失のバランスを簡単な手段(制御因子)で調整することのみである。

【まとめ】
・オッズ比と2種類の誤りがある場合のデジタルのSN比(=エネルギー比型SN比)は、比例定数を除いて等価である。
・これらのSN比は、原料比の影響を受けない。
・これらのSN比は、校正(経済性を加味した調整)の影響を受けない。

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2種類の誤りがある場合のデジタルSN比とオッズ比は同一(2)

(前投稿からのつづき)
SN比は、分離システムの評価であるので、原料比yA:yBの変動に影響を受けてはならない。ここでは簡単なデータ例で検証してみよう。

液体Aは、有効成分yA1:有害成分yA2=9:1に、気泡Bは有効成分yB2:有害成分yB1=5:5に分離できる品質をもったシステムを考える。このとき、下記のように原料比が変わったとする。

Case1
                                    排出口#1 排出口#2
液体A yA=100    yA1=90   yA2=10
気泡B yB=100    yB1=50   yB2=50

Case2
                                    排出口#1 排出口#2
液体A yA=100    yA1=90   yA2=10
気泡B yB=10      yB1=5     yB2=5

オッズ比ηT’’、デジタルのSN比ηTaとも、真数部に(yA1/yA2)*(yB2/yB1)をもっているので、分離品質yA1/yA2とyB2/yB1(9:1と5:5)が一定であれば、原料AとBの比が変化しても、SN比は不変である。

オッズ比
Case1  ηT''=10log[(90*50)/(10*50)]^2=10log81  (db)
Case2  ηT''=10log[(90*5)/(10*5)]^2=10log81  (db)

デジタルのSN比
Case1  ηT''=10log[(90*50)/(10*50)]^(1/2)=10log3  (db)
Case2  ηT''=10log[(90*5)/(10*5)]^(1/2)=10log3  (db)

いずれのSN比も、原料比yA:yBの違いによって、品質評価の影響を受けない。

次の投稿で、経済性について考えてみよう。

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2種類の誤りがある場合のデジタルSN比とオッズ比は同一(1)

久々にSN比の数理に関する投稿。

2018年1月号の品質誌(日本品質管理学会誌)に、リコー細川氏による、分離機能(液体と気泡の混合物を分離したい場合)のSN比について論じられている。

細川, 佐々木:”開発活動に適した分離機能の評価方法と実験方法", 「品質」, Vol.48, No.1, pp.112-116, (2018).

この論文に対する評価ではなく、以前論じたエネルギー比型SN比とデジタルのSN比の関係、それにオッズ比について備忘録として残しておきたいという意図である。

原料である液体Aと気泡Bを処理して、排出口#1からは液体Aだけをだきるだけ多く回収したい。排出口から#2からは理想的には気泡Bだけが出てくるとよい。

データセットとして以下を考える。
                       排出口#1 排出口#2
液体A yA    yA1   yA2
気泡B yB    yB1   yB2

データは単位量(例えばℓ)の倍数と考えていただきたい。
すなわち液体Aは、yA1:yA2に分離され、気泡BはyB1:yB2に分離されるという機能である。

細川氏の論文に提示されているSN比はオッズ比と呼ばれるもので、情報通信(1を1と伝え、0を0と伝える機能)の品質や、検査などの判別性能を評価するのに用いられてきたものである。情報の判別も、材料の分離も、本質的に同じ評価ということである(つまりエントロピーの大きい入力をエントロピーの低い出力に変換できればそのシステムの品質が高いということだ)。

さて、オッズ比ηT''(記号は前論文にならった)では、

  ηT'=10log[(yA1/yA2)/(yB1/yB2)]^2=10log[(yA1*yB2)/(yA2*yB1)]^2 (db)

となる。
対数の中身の分子(yA1*yB2)が有効成分、(yA2*yB1)が有害成分であることは、データの定義から明らかである。

この式の意味は、田口玄一氏によって修正された2種類の誤りがある場合のデジタルのSN比とほぼ同意である(詳しくは、拙書「エネルギー比型SN比」のp.70~を参照)。
Aの分離率をpA=yA1/(yA1+yA2)、Bの分離率をpB=yB2/(yb1+yB2)とすると、SN比はこれらのオメガ変換値の平均(db単位で平均=和を取ること)で、

 ηTa=[10log(pAのオメガ変換値)+10log(pBのオメガ変換値)]÷2 (db)
   =10log[(yA1/yA2)/(yB1/yB2)]^(1/2)

オメガ変換値が、エネルギー比型SN比と等価であることは、前の投稿でも示した。

ηT''とηTaは本質的に同じ式である。logの[  ]部が2乗されるか(デシベル値が2倍になるか)、1/2乗されるか(デシベル値が1/2倍になるか)の違いだけで、相対比較を行う分には本質的な違いはない。

つまり、オッズ比もエネルギー比型SN比と完全に整合が取れているということである。

次の投稿で、これらの指標が原料比yA:yBに依存しないかどうかについて考えてみよう。

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2018/01/18

「エネルギー比型SN比」無料レポートリリースのお知らせ

株式会社ジェダイトのホームページより、かねてより「これでわかった!超実践品質工学」の無料レポートを請求できるようになっておりましたが、
このたび「エネルギー比型SN比」(20ページ)が合わせて入手できるようになりましたので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

ご請求はホームページの「お問い合わせ」の特設フォームから!

「これでわかった!超実践品質工学」
#01 ~早い段階で”未来の品質”の見える化を!~
#02 ~ここが問題!従来の試験方法~
#03 ~「機能性評価」で「より早く、より速く」品質の評価を~
#04 ~機能定義のコツ教えます~
#05 ~あえて「悪くなる」条件を作り出すノイズ因子~
#06 ~SN比は意味を理解して、ツールで使いこなす~
#07 ~機能性評価の使いどころと効果~

「エネルギー比型SN比」
1. はじめに
2. 技術評価におけるSN比
2.1. 従来のSN比
2.2. 従来のSN比の課題(1) ~信号の大きさによる影響~
2.3. 従来のSN比の課題(2) ~データ数による影響~
2.4. 従来のSN比の課題(3) ~個別的な計算方法~
2.5. 従来のSN比の課題(4) ~計算の複雑さ(使用面、教育面での困難性)~
3. エネルギー比型SN比
4. エネルギー比型SN比の検証
4.1. 従来のSN比の課題(1) ~信号の大きさによる影響~
4.2. 従来のSN比の課題(2)~データ数による影響~
4.3. 従来のSN比の課題(3) ~個別的な計算方法~
4.4. 従来のSN比の課題(4) ~計算の複雑さ(使用面、教育面での困難性)~
5. おわりに

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2018/01/07

自分の強みを知る(2)

240もの質問に答えることで、自分の強みを24種類の中からランク付けして知ることができます。診断方法など詳しくは以前の投稿を参照。

で、今回3年ぶりに実施してみました。
1位の楽天主義・未来志向は変わらず首位!(笑)
「You believe that the future is something that you can control.」というフレーズはいいですね。

3位の独創性・創造性、4位の学習への愛も前回5位までに入ってました。
それ以外では、2位に感謝、5位にユーモア・遊び心がランクイン。なるほど、なるほどという感じです。心に少し余裕ができたのかもしれません。

時々、心境の変化を立ち止まって見てみるのもよいでしょう。

Your Top Strength
Hope, optimism, and future-mindedness -
You expect the best in the future, and you work to achieve it. You believe that the future is something that you can control.

Your Second Strength
Gratitude -
You are aware of the good things that happen to you, and you never take them for granted. Your friends and family members know that you are a grateful person because you always take the time to express your thanks.

Strength #3
Creativity, ingenuity, and originality -
Thinking of new ways to do things is a crucial part of who you are. You are never content with doing something the conventional way if a better way is possible.

Strength #4
Love of learning -
You love learning new things, whether in a class or on your own. You have always loved school, reading, and museums-anywhere and everywhere there is an opportunity to learn.

Strength #5
Humor and playfulness -
You like to laugh and tease. Bringing smiles to other people is important to you. You try to see the light side of all situations.

自分の強みを知る(2015年2月調査)
https://tsuruzoh-qe.blogspot.jp/2015/02/blog-post_9.html


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株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2018/01/05

品質工学活用の前に統計的手法の習得は必要か

あるメーカー様より以下のような質問があり、他の方にも役立つFAQだと判断しましたので、Q&A方式で紹介しますね。

Q.
品質工学を社内で活用・推進するにあたり、そのベースとして統計的手法の習得は必須なのでしょうか。

A.
おそらく、「品質工学の前に統計的手法を」という意見の背景には、
「品質工学とは、直交表を用いてとったデータを高度な統計解析によって“料理”し、有益な知見を得るための手段」
との認識や、実験計画法との混同があるのではないかと推察されます。

結論から言えば、ご質問の順番にこだわる必要はありません。「統計的手法→品質工学」という段階的なものではなく、これらは両輪、相補的なものであると考えます。仕事の内容によってどちらかに重点を置く場合もあるでしょう。

品質工学(特に弊社が推奨する超実践品質工学)は、統計的な考え方ではなく、
 ①技術的な考え方(機能定義)と、
 ②お客様の使用条件・環境(ノイズ因子)をベースに、
品質の見える化・評価方法について、効率的な新しい切り口を与えるものです。それによって、開発設計の効率化と、新しい技術についての着想を得るためのものです。

よって統計的手法は、品質工学“活用“のベースとはなりません。
(SN比の計算もごく初歩的なもので、極論を言えば、Excelで計算しても品質工学の本質を損なうことはありません)

一方で、開発設計における因果関係の分析や、製造工程管理、開発・製造中の不具合解析を行う上では統計手法の知識が必要となります。

つまり、
 統計手法=データが“どうなっているか”を数学的に表現する
 品質工学=どうすれば効率的なデータを取れるかを技術的に考える
と言えるでしょう。

世の中の品質教育で「統計手法→品質工学」のような段階的な体系になっていることが多いですが、これは、統計手法の上級編として「実験計画法」が位置づけられることが多く、その類推から品質工学が統計手法の上級編と誤解されるのではないでしょうか。

弊社では統計的手法と品質工学(と信頼性手法)をあわせて「データエンジニアリング」と言っており、目的に応じて使い分けたり組み合わせたりすることが必要と考えております。hコンサルなどのご興味がありましたら、下記のリンクをご参考ください。

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