2017/09/17

品質工学以前のことも着実に

 いろんなメーカーさんで、「品質工学を導入したい」というご相談をいただきますが、品質工学だけで製品やサービスを開発・設計できませんので、品質工学以前の部分がちゃんとできていることが前提になります。すなわち次のような部分:

(1)スマイルカーブの上流である、「お客様が望むものは何か」をしっかりと見極める企画の問題。売れないものを、いくら効率的に開発しても価値は生まない:売れないので市場品質の問題すら発生しないのは皮肉だが)。

(2)企画したものの実現手段と所望の性能を達成するための発明、機能設計の問題(品質工学で手段が見つかったり、性能が改善できるわけではない:いずれも技術者の創造の賜物である)。

(3)従来の品質問題に対する再発防止と歯止め。

などである。その上で、なぜ品質工学をあえて導入するのかの”目的”を明確にしないと、担当者のやらされ感、上層部が交代することでの活動の頓挫などになりかねない。

 また、これまでちゃんとできている部分の評価も忘れないことである。既存のしくみやツールをうまく生かしながら、品質工学のいい部分と融合させていくのが得策である。前の会社で少なからずそのような指導を行ってきた経験もあるので、コンサルタントとして、「品質工学売りに来ました」とならないように、ご相談の声に耳を傾け、時には厳しい助言をしてるつもりである。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2017/09/15

原低開発の落とし穴

 品質工学活用の入門のステップで、機能性評価(機能の安定性評価)を勧めている。とりわけ、経営層に手早く成果を見せる必要のある、導入初期(ボトムアップ)の段階では、原低(コストダウン)の開発に有用である。

 原低した結果、従来品と比べて性能(エネルギー変換効率など)や品質(機能の安定性、SN比)が悪くなっていないことを、開発設計の上流で見える化するわけである。

 ここで注意しなければいけないのが、従来品の品質にマージンありとして、SN比が下がってもよしと判断できるかどうかである。従来品(仮にクレームゼロとしよう)において、スペックにうたっていない過剰部分は、ユーザにとって暗黙の期待になっている場合が多々ある。これは製品上のスペックは同じでも、○○社製の製品は安心して使える、少し無理な条件でも使える等を意味する。

 したがって従来品でクレームがないからと言って、安易にスペックに現れない部分のマージンを削ると、「前製品では使えていたのに、動作しない」等のトラブルになることがあるのでので、注意が必要である。どのような品質レベルが必要とされるのかは、品質企画の問題で、VOCや市場・競合調査からメーカの責任で決めなければならない問題である。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2017/09/06

【報告】日本規格協会福岡支部 品質工学セミナー2日間

さる9月4日(月)、5日(火)に、日本規格協会福岡支部にて、品質工学セミナー入門コースを実施しました。

九州地区以外にも、大阪から来られている方もいらっしゃいました。意識が高いですね!

以下、受講後アンケートからご意見を抜粋してご紹介いたします。
9月22日(金)に弊社(大阪)主催の同様のセミナーがございますので、ご興味のある方は、ジェダイトホームページのご案内よりお申込みくださいませ。

【アンケートのコメント】
・実務を想定した流れ、内容になっている。例が多く、教科書ベースの講義ではないため、非常に楽しく、分かりやすかった。
・これまで独学してきましたが、なかなか初歩的なことで理解が進みませんでした。今回のセミナーでだいぶん理解が進みました。
・必ずしも直交表を用いたパラメータ設計が必要ではなく、見方が変わった。
・ぜひ”本当の意味で”活用できるようになりたいと思った。
・今後の開発設計にまず機能性評価を用いて実務に生かしていきたい。
・質疑応答の時間が適度にあり、とてもいいと思います。

・機能を自分で正しく表現できるようになるには少し練習は必要と感じた。
・配布資料がカラーだとありがたかった。