2016/07/24

【今日の言葉138】

士業の存在価値は、「いけると思います」ときっぱり言い切ること。

中途半端に言葉を濁したり、決断から逃げていたのでは、士業がいるメリットがない。

( 子育てママ税理士の原尚美「一生食っていくための士業の営業術」)

名称独占資格の技術士ならなおさら、技術的アドバイスは当然のこととして、お客様の迷いを共有して、最後に背中を一押しする人間力が重要なんですね。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/07/18

「機能」は自分で考えてはいけない

 前の投稿のアンチテーゼで、こちらも「○○してはいけない」としてみました。ただし、禅問答ではなく、ちゃんと説明しますね。

 品質工学に限らず、製品価値やコストパフォーマンスを高めたいとき(VE、価値工学)、お客様のニーズや要求をまとめてそれを技術課題に落とし込みたいとき(QFD、品質機能展開)など、技術や製品に求められる「機能」を考えることが最初の一歩となることが多いですね。

 このような設計や品質にかかわる業務のコンサルティングをするときに、やはり最初に悩むのも、この機能の定義なわけです。えてして、エンジニアはシーズ(技術)やメカニズム(からくり、解決手段)から物事を考えてしまいがちです。なので、「機能は何ですか」と尋ねても、答えに窮してしまうことが多いようです。

 機能とは単純に、「お客様の欲しいもの」と考えてはどうでしょう。蛍光灯や懐中電灯なら「周りと明るく照らしたい(光量を得る)」、コピー機なら「原稿と同じ画像や文字を等倍や拡大縮小で、紙に写し取りたい(原稿画像を転写する)」といった具合です。品質工学では、目的機能という難しい名前がついています。

 品質工学(機能の安定性の評価)では、ここでもう一工夫して、そのような「欲しいもの」を得たり、変化させたりするための「お客様がコントロールできるような入力」をともに考えます。蛍光灯ならワット数に応じて明るさを変えられるので、入力は電力などの電気的エネルギーです。コピー機なら、「原稿と同じ画像が移された紙」という欲しい結果に対して、お客様が入力するのは原稿画像ですね(たまに「コピーボタンを押す」という珍回答もありますが、そもそも原稿がないとほしい画像は得られませんね)。

 こうしてみると、出力は「お客様が欲しいもの」であり、入力も「その出力を得たり変化させたりするためのお客様がコントロールできるもの」なので、実はエンジニアが出る幕はないのですね。つまり、「機能は自分(エンジニア)が考えてはいけない」のです。お客様の声を聴き、時にはそれを先回りして考えることで、達成すべき、作りこむべき機能を定義できるわけです。これは既存製品や既存技術の評価や改善の場合でも同様です。

 こう書くと、機能の定義方法ってとっつきにくいなぁ、と思われるかもしれませんが、ご安心を。エンジニアが技術を評価したり、改善したりするときにちゃんと機能定義ができるように、「これでわかった! 超実践 品質工学」で、基本公式と2つのパターンを丁寧に説明しています。ご参照ください!(^_^)b ビシッ!!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/07/03

「原因を探してはいけない」の真意は

 7/1(金)~7/2(土)にかけて、関西品質工学研究会の年1回のイベント、合宿研究会が神戸市の「しあわせの村」で開催されました。田口伸先生(ASIコンサルティンググループ)をお招きしての、あいかわらずの大激論でした。さて、初日のグループディスカッションの中で以下のようなご質問が出ました。品質工学ではこのような禅問答のようなことで、初学者の方を遠回りさせてしましますので、ここで解説しておきたいと思います。

質問
「品質工学ではメカニズムは考えない、原因を探さがしてはいけない、というがどういう意味なのでしょうか。私はコンピュータシミュレーションモデルで設計を行っているので、メカニズムがわからなければモデルさえ作れないのですが。」

答え
 まず「メカニズムを考えない」の部分ですが、もちろん、評価や改善のモデルを作ったり、システムの改善のアイデア(制御因子)を考えるときには、メカニズムが分かっていたほうが有利です(まったくの新システムではブラックボックスで進める方法もありますが、メカニズムに何もアテがないことは少ないはずです)。
 メカニズムを考えないのは、品質工学の機能性評価(機能の安定性の評価)において、お客様の立場(信号とノイズ)で評価するときのことです。お客様は製品のメカニズムは知らなくても製品の機能(働き)はほしいわけですから。
 もう1つ、メカニズムの追及という文脈では、平均値が大きくなるか小さくなるかの因果関係を精密に調べることを指しており、これは古典的なQCの統計手法(実験計画法や重回帰分析など)の領域だと言っているのです。科学的な研究の場合はこれが命で、できるだけ誤差やばらつきがないように気をつけて実験するわけです。品質工学ではモデルの精密化を目指すのではなく、逆に絶対値は合わなくても傾向が合う程度の粗いモデルでSN比を使って、相対比較によって安定性の改善ができるとしています(絶対値の合わせこみは後で行います)。
 「原因を探すな」というのも、因果関係の探求をするなと同じ意味です。製品の不具合が起こった原因を、統計手法を用いて調べて分かったとしても、従来はその原因をつぶそうとします(温度ばらつきが原因なら、温度を安定にしようとします)。品質工学ではそうしないと言っているのですね。温度のばらつきはそのままで、製品の機能(働き)のばらつきは小さくするような、そんな設計を目指していきましょうということです。うまくいかなかったモデルをノイズ(ばらつきの要因)別に統計手法で分析することは、原因を知り、安定な設計のアイデアを考えるためにはアリです。
 技術者は改善のアイデアを考えるときはメカニズムを考え、評価するときはお客様の立場でメカニズムを考えずに行うわけですから、一人二役の場合は頭の切り替えが大変ですね(笑)。

 さて、品質工学の言葉の中には、プロパガンダ(気を引くためのフレーズ)としていろんな理解しにくい文言が出てきます(そのような口ぶりで、田口玄一先生のマネをしている人には気を付けましょう。きっと初心者が目を白黒させるのを見て本人は溜飲が下がっているのでしょうから)。

 そのような禅問答の答えを自分なりに考え抜いて気が付くことも楽しいのですが、いまや「寿司を握れるようになれるのに10年」という時代ではありません。私はその時間を新しいシステムや制御因子のアイデア、社内推進の工夫のためのアイデア創出、家族や健康のための時間に使ってほしいと考えます。先人が苦労してつかんだ田口先生の真意(仮説)を、後進の方が同じ年数をかけて理解する必要はないのです。

 今回執筆した「これでわかった! 超実践 品質工学」では、そのような思いがあります。初心者の方は、本書を読んで最速で中級者になって実践してください。そこからまだまだ、考えたり勉強したりすることがありますので。後発の利を最大限に生かしましょう!人生の時間を大切に!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

【今日の言葉137】

最悪を受け入れる覚悟があれば、大胆に行動できる。

そして、そうやって受け入れておけば、その「最悪の事態」は滅多にやってこないものなのです。
( メンタリストDaiGo「ネガティブな人ほど運がいい!?」)

KSKでないほうのDaiGoさんです。
「運」の正体を知りたい方は、これを読むとなるほどと思いますよ。スピリチュアル系ではありませんので、ご安心?を。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)