2014/06/28

品質工学研究発表大会(QES2014)に参加

6/26(木)~27(金)に開催された品質工学研究発表大会(QES2014)に2日間参加した。

これまで9年間で13件の発表を行ってきたが、昨年秋より部署や役割が変わったことや、技術士の受験などもあり、今回はひさしぶりに研究発表なしでの参加となった。

2日間ともずっとポスターセッションの会場を見てまわった。発表者への敬意として質問は積極的にすべきと考えるので、他からの質問がないケースではほぼすべての発表で質問やコメントをはさむようにした。下名の発言機会が多くなってしまったことはお詫びしたい。

興味深い研究もいくつかあった。特にヤンマーの永倉さんのMTによる時系列分析は、詳細の数理は論文では明かされていないものの、奥深いものを感じた。今後、交流を深めながら手法の全貌に迫りたいと思う。セイコーエプソンの畠山さんのような地道な現場での活動にも敬意を表したい。

1日目の昼には評議委員会が開催された。短い時間ではあったが1,2年ぶりの旧友を深めた。

1日目の夜にはITEQインターナショナルさんの音頭で恒例の懇親会。井上社長や、田口伸先生、アングルトライの手島さんらにも合流していただき楽しい時間をすごすことができた。

今回のQESで感じたことは、やはり発表しないと本当の意味で参加したとは言えないことだ。多少の充電期間は必要かもしれないが、またQESで発表できるようにしたい。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

日本規格協会品質工学入門セミナー(大阪)が成功裏に終了・お知らせ

6/23(月)~24(火)に大阪で開催されました首記の日本規格協会品質工学入門セミナーは18名の受講生と3名のオブザーバのもと、よい雰囲気で2日間を終了しました。

次回大阪開催は2015/2/12(木)~13(金)を予定しております。

また、来月7/7(月)~7/8(火)にて福岡地区でも開催しますので、近隣の方はぜひご参加いただければと思います。

下記に今回大阪開催でのホヤホヤのアンケートの一部を示します。雰囲気を感じ取っていただければ幸いです。

今回アンケートより
・導入に当たっての前段階での本質的な説明部が丁寧で大変理解しやすかった。
・質疑応答にたくさんの次回を割いたので、色々な視点・気づきがあり大変よかった。
・質疑応答に役に立つものが多く、自社で行かせるものが多かった。
・質問の回答がその場で得られたので助かった。
・社内で展開していくにあたってのヒントがたくさんつかめた。
・市販のテキストには記載されていないことも含まれており分かりやすかった。
・難解なイメージがあったが、実はふだんの業務でもすぐに活用可能だと感じた。
・タグチメソッドを使えば何でもできるというボヤっとした期待感はなくなり、本当の意味が分かった。
・品質工学の目的を知ることができ、これまで適用しようとしていた分野には合致していないことがわかった(MTシステムが適当)。
・今までとは違った考え方を学んだ。他のこれまでの考えと結びつけて品質向上に努めたい。
・DRの前準備が大事。開発部門の開発状況を確認するところからはじめる。
・まずは設計部門との積極的な取組み方向性を議論したい。
・「ばらつき」に対する意識が変わった。
・品質工学に出来ることとできないことが確認でき、適正な期待値をもつことができた。
・社内でもすでに活動しているが、基本的な部分の「抜け」を感じた。それを補完するような働きかけを行っていきたい。

要改善・課題
・テキストが白黒のためグラフなど見難い部分があった。
・できればMTシステムについてもう少し知りたかった(現在はMTシステムの単独講座はないため)。
・目的を達成する方法論は分かったが、直接的なものは今後他のテーマのセミナーが必要。

2014/06/24

技術士会経営工学部会・近畿支部の勉強会

6/21(土)に技術士会経営工学部会・近畿支部の勉強会(2か月に1回)に
参加しました。

前回は品質工学だったのですが、今回は内容的に業務に直接関係しないかな、と思いながらの参加でした。

第1部は情報システムやICTの話があり、ビッグデータの話などもあって、個人的にはそれなりに役立ちました。
第2部の、麻織物メーカ、仏具メーカへの地域活性化支援事業の話は正直あまり関心をもっていなかったのですが、聞いてみると品質工学などの品質作り込み活動の推進に役立つ気づきがいくつかありましたので展開します。

●夏向けの麻製品を冬に購入することに疑問を感じて、消費者に
 直接訪ねることを助言(支援事業者→中小企業)。直接訪問して
 みると「体にまとわりつきにくく、さらっとしていて、スースー感が
 なく、体になじむ。冬も上布団の内側で体に沿わせて愛用」
 とのこと。麻の熱伝導率のデータとともにPR資料に活用し、
 人気商品に。

→ よく観察して、疑問に感じることが重要。
  現場に足を運んでお客様の意見や使い方をよく聞くことが大切。

●仏具メーカは、モノを売っているのはなく、先祖を祀るための
 「作法」を売っている。

→ 推進活動も、品質工学などの「技法」ではなく、
  品質作り込みの「作法」を展開しているのではないか。

●(支援事業者は、中小企業=仏具メーカに対して)いかに説明すれば
 アドバイスした内容を行動に移してもらえるか、説得力が得られる
 ように事例収集に努める。

→ 推進活動も、推進メンバーが実践のキーマンに対して、いかに説明
  すれば行動に移してもらるか、事例収集に努める必要がある。

●お客さんに相当する中小企業(=仏具メーカ)の経営者の満足度を
 高めるのに、目先の問題処理では自立心を強める作用が強化されない
 から、将来展望を前提に助言する説得の方法に努める。

→ 推進活動も、つい目の前の問題解決を支援したくなるが、これでは
  自立心を強める作用が強化されない。将来展望を前提に
  本質的な改善について助言する必要がある。

さあ、明日は(もう今日か)、日本規格協会の品質工学入門セミナーである。新しい出会いに今からわくわくする。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2014/06/08

材料メーカの品質工学

たとえば鉄鋼メーカとして、材料の開発をする立場ではどのような機能やノイズ因子を考えればよいのだろうか。

製品は鉄鋼のカタマリであり、そのあとユーザは形状を変えるための加工(塑性変形を含む)をしたり、防食などのさまざまな特性を付加するために処理を行う。すなわち、製品を出荷したあと、鉄鋼メーカとしては不明なさまざまなプロセスをへて最終製品(ピアノ線やバネや金型など)になる。

極論を言えば、鉄鋼(材料)メーカがユーザのあらゆる使用条件を考える必要はない。ユーザの要求(鉄鋼のさまざなな要求特性)にあった材料を安定して作れればよいのである。

その場合の評価特性は、ユーザの要求に関係するもの、例えば構造材料であれば強度やヤング率に関する特性(荷重-変位特性など、もちろん用途によって変わる)になる。

ノイズ因子の中心はプロセスのばらつきであり、それは鉄鋼材料製造プロセスにおける熱処理などの履歴の安定性である。プロセスの特性値の中心値の設計は、どのような特性の鉄鋼を作るかの機能設計、チューニング問題であり、ロバスト設計の対象でない。

その意味では制御因子は、たとえば熱処理工程では冷却速度などを安定化させるための設計因子が中心となる。鉄鋼材料の組成(の中心値)は特性を決めるための機能設計、チューニングの因子であろう。組成のばらつきもノイズ因子と考えられなくもないが、組成がばらついても特性が一定となる技術が考えづらい場合は、組成の管理はQC的なものにならざるをえないだろう。

もう1つノイズ因子として重要なのは、大物の製品における処理の位置間ばらつきである。これはテストピースの形状を工夫して、位置間で処理の履歴が変わりやすようなものを考えるところが技術力である。あわせて、カタマリの内部の状態を計測する技術も必要である(実験なら破壊検査でもOK)。

材料メーカの場合、製品がその後客先でどのように加工、処理されるかは不明(ユーザの自由)であるので、材料の要求スペックを客先といかにすり合わせるかが重要である。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

機能とノイズを検討する大切さ

2ヶ月ぶりに関西品質工学研究会に出席した。
といっても、前回出席の4月度も、最初の1コマだけしか聴講できなかったので、フル参加で議論に加われたのは久しぶりである。

基本的に研究会の発表内容は会員外秘なので、このBLOGでも直接内容をとりあげることはないが、そのなかで気づいたことを一般化して述べたい。

論文紹介でM社の研究発表大会予稿が採りあげられていた。この予稿自体はつっこみどころが多すぎてそれだけでもかなりの文章が書けるのだが1つ1つ挙げるのは抜きにしよう。

ここで言いたいことは、QESの研究発表や学会誌の論文が、直交実験のレポートレベルになっていることを危惧するものである。

さきの予稿でも機能やノイズ(誤差因子)の議論はあっさりしたもので、制御因子やSN比の公知の計算手順や数値例に紙幅を割いてしまっている。

この事例ではノイズ因子は1つだけ採り上げられており、SN比計算の数値例では、VeもVβ×Nも約200という値であることから、十分に能動的なノイズがかけられているとは言いがたい。それゆえ、再現性もなく、チューニングで上げたはずの感度も確認では下がっている(グラフのスケールがそれっていないので下がっているのことが分かりにくいが)。

品質工学の基本は機能性評価における機能とノイズの検討、それから定義されるSN比の定義につきると言ってよい。制御因子の説明は固有技術であるし、直交実験はツールの世界である。

そのように思って久しく、宣伝するわけではないが、日本規格協会で講義させていただいている講座では機能とノイズの部分を本当に重点的に、丁寧に説明させていただいている。直交表や要因効果の求め方などはツールにゆずる潔さだ。

品質工学の学習や研究で変な遠回りをしないでほしいと切に願うものである。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2014/06/01

告知:品質工学入門セミナー

来る6月24日(火)~25日(金)に、日本規格協会(関西支部)にて、恒例の品質工学セミナーを開催します。
(関西品質工学研究会の方は、維持会員価格の半額を補助)

関西の研究会でも「機能の考えかたが分からない」「基本機能とは?目的機能とは?それらの違いは?」など、初学者にとっては理解しにくい、それでいてあまりテキストには詳しく説明がない疑問がでてきました。

品質工学セミナーの入門で重要なのは、技術における品質の考え方と、品質(機能の安定性)を評価するための3種の神器(機能、ノイズ、SN比)をしっかり押さえることです。
特に、機能についてはこの講座で、オリジナルの「考えるためのコツ」を伝授します。

今回も、下名と、同社の鐡見氏の2名体制で、「熱い」講義を提供したいと考えております。
ご興味のあるかたは、上記Webのフォームに入力いただくか、日本規格協会関西支部(担当;秋枝さん)までご連絡ください。

また、今年は7月に福岡でも開催しますので、近県の方はぜひご検討ください。


(前回案内から転載)

<本品質工学セミナーの特徴>
●品質工学の全体像がつかめる
●基本や本質が理解できる
 ・品質工学セミナー指定教科書「はじめての品質工学」以前の、あまり本には書いていないけど“本当は大事なこと、あまり言ってくれないこと”が分かる
 ・実際に困る点への対応や、ちょっとしたコツが分かる
 ・どういう場面で品質工学(特に、機能性評価とパラメータ設計)を使うのかが分かる
 ・演習で考え方を体感できる
●計算やツールに対するフォローもばっちり
 ・帰ってすぐ使える「パラメータ設計実験シート(Excel)」付き
#次回以降の配付は未定です。

<本コースの基本方針>
●とにかく、基本である「機能性評価」が大事!
 これをシッカリ理解して帰っていただきます。
 これが分からずパラメータ設計に走ってはいけません。
●実際に便利なのは「パラメータ設計」!
 すぐに理解しにくい「直交表」「SN比」「要因効果図」は
 ツール(無償配布)に任せて、まず実務で“使ってみる”
 ことが出来るようになることを目標とします。
●それ以外の手法は、概要を押さえていただきます。

 本品質工学セミナー用に書き下ろした最新のテキストを使用します。よいセミナーにしたいと思っていますので、初心者の方、もう一度品質工学の基礎を学びなおしたい方、社内での教えかたのヒントを得たい方など、ご参加をお待ちしております。

三宮のイタリアン R.Valentino

あれよあれよと言う間にもう5月も終わり6月に突入。
暑い日が続くねー、ということで、中学の同級生たち9人でプチ同窓会。

西宮のオペラ歌手Cさんのお声かけで、三宮のイタリアンR.Valentinoに行きました。

日中の暑さもあって、珍しく最初の3本は立て続けにスパークリングワインを注文。そのあと、おっとりと赤、白ワインを注文しました。料理はシェフのおまかせコース(4000円)。時間制限も特になく、4時間ゆっくりさせてもらいました。

6月も元気でがんばるぞう!