2014/03/23

チキンの梅酒煮と長野県産白ワイン

 今年度、技術士2次試験に挑戦されているIさん(がんばってください!)よりいただいた、3本のワインのうちの1本がこの長野県産白ワイン「井筒ワインNACシャルドネ樽熟2010」。

 ソムリエの田崎真也氏らを中心とする長野県産地故障管理委員会の厳正な審査で長野モデルと認定されたワインだそうです。辛口で料理にはぴったりでした。

 さてその料理。メインは右下に写っている「チキンの梅酒煮」。骨付きもも肉をサラダ油としょうがでこげ色が付くまで炒めた後、梅酒(1/2カップ)やしょうゆ(大さじ2)、スープ(水1カップ+固形スープのもと)を加えて30分ほど煮込んだもの。梅酒のほんのりとした甘みがワインにもあう。食べた残りの煮汁には、さらに茹でたてのパスタを投入してシメとしました。


2014/03/22

【今日の言葉120】

まんがを参考にしてまんがを書いても仕方ないでしょ。いま、まんが家を目指している若い人たちは、まんがしか読まないことが結構多いんです。
(藤子・F・不二雄 「サンデー毎日」1993.5.23号より)

このあと以下のように続きます。
「でも、映画や小説、テレビなどたくさんのメディアがあって、さまざまな刺激を受けられるんですから、まんがだけというのはもったいない気がしますし、問題だとも思っているんです。」

品質工学の研究者、実践者もそうではないだろうか。
品質工学しら知らずに、品質工学の本を読んでみたが、また実践みたが品質工学がどうのこうの、と良し悪しを論じたり。

統計的品質管理、数理計画、信頼性工学などのたくさんの管理技術・汎用技術があって、さまざまな刺激が受けられるんですから、品質工学だけというのはもったいない気がしますし、問題だとも思っているんです、ってね。(笑)

ちなみに、小学生のころは藤子先生に憧れてまんがばかり書いていました。

2014/03/16

技術士2次試験受験申込書/経歴書の書き方(3)

 さて、最後は「業務内容の詳細」である。H25年度より業務体験論文が無くなり、受験申し込み時に720文字で概要を記載するようになった。そのため、業務詳細にどの経歴を選択するのかや文章の準備は、以前よりも早く始める必要があるようになった(以前は筆記試験終了後、合格者のみ体験論文提出)。

 それに加えて720文字である。以前の投稿にも書いたが、720文字という制限は余りに厳しい。試しに書いてみると分かるが、自分のことを知らない試験官相手に、業務の背景や目的、自分の立場、業務の課題、技術的問題点、解決策、効果、評価と展望などを要領よくまとめていく必要がある。

 オススメの方法は、いきなり720文字に収めるのではなく、長くなってもよいのでまずロジカルな(筋が通っていて矛盾のない、そして分かりやすい)文章をまず作ってみることである。A4で1~2枚になってもかまわない。その上で満足のいく内容に仕上がったら、そこから720文字の要約文を作成するという要領である。

 見やすい文章ということで、各項目(パラグラフ)ごとに、文字装飾を変えた(ボールド&下線のような)表題を入れておくとみやすい。下名が使用した見出しは以下である(「・・・」以降は見出しの説明)。すなわち、いくつかの項目を1つのパラグラフにして3つに分けた。
 1.業務課題と役割・・・対象とその背景を述べ、自分の立場を明確にする
 2.技術課題と私の提案・・・技術的に問題となった点と、技術士としての提案
 3.成果と展望・・・どう良くなったのかと、今後の展開

 下名の場合はさらにパラグラフごとに空白行を入れた(これが文字数にカウントされないことは確認済み)。このような細工ができるのも、紹介したPDF編集ソフトを使用したおかげである。

 完成した文章を声に出して読んでみよう。黙読で追っていただけでは気がつかなかった、文章のおかしい部分や、分かりにくい部分、繰り返しになっておりくどい部分、つながりが悪い部分などに気づきやすい。また誤字脱字や専門用語の間違い・誤用は、資質を疑われ致命傷となるので何度も読み返してチェックするようにしよう。

 内容については、個々の文章を見ないとコメントしにくいが、総じていえることは、初見の試験官に対して、いかに技術者としての自分をアピールできるかである。すなわち、プロジェクトの成果ではなく、自分が技術士として何をやったのかのアピールである。そこに高度の専門的応用能力が発揮できている感じがでているかどうかがポイントである。したがってプロジェクトの有名無名や、事業規模、役職の大小は関係ない。技術士としてふさわしいことをアピールすることと、立派な事業や肩書きを自慢することとは別なので注意するよういしたい。

 提案の部分は、奇抜なものや、世紀の大発見などは必要ない(これは筆記試験の論文についても言えること)。所与の制約条件のもとで、既知の方法を適宜組み合わせて、または小改良を行い、最短距離で現実の問題を解決できていれば十分である(特許でもほとんどは組み合わせである)。むしろ短時間で試験官に内容を理解していただくことのほうが重要である。そのためには、その技術分野で通じると思われる専門用語は積極的につかって文字数の節約とミスコミュニケーションの防止を図ろう。

 720文字ということで書きたくても書ききれなかったアピールポイントもあることだろう。そのため、文中ではフックとなるキーワード(少しマニアックな専門用語や、造語風の表現)を書いておき、口頭試問での呼び水になるように仕組んでおくとよい。そのキーワードに対する質問が来たら、その時が絶好のアピール時間になる。

 ほかにも技術士の方々に添削していただく過程で色々あったと思うが、思いつけばまた追加投稿していきたい。

2014/03/15

技術士2次試験受験申込書/経歴書の書き方(2)

 さて2枚目の経歴書である。これは完成までに時間がかかることを覚悟して、できるだけ早く準備して、提出するときもぎりぎり(4月下旬ごろ)まであきらめずにブラッシュアップに努めていただきたい。

 まず上段の大学院における研究経歴であるが、社会人のほうで年数が足りていても、研究経歴がある場合は書いておいたほうがよい。空欄であるということで、口答試験で無用な質問を受けて時間を浪費する可能性もある。下名は年数が足りていたので書かなくてもよいと考えて空欄で提出してしまったのであるが、後悔したのである。幸い、口頭試験ではその点について聞かれることはなかったが、無用なリスクは避けておくべきである。

 さて、本論の業務経歴部である。昨年の制度改正から経歴はたった5項目しか書けないようになった。これは特に業務年数が長い方にとってはまとめるのに苦労するだろう。下名は受験時点で19年間であったが、若い頃の(しかも受験した技術部門とは関連のない)経歴で1行使用することがもったいないと感じたからである。したがって結果的には、入社4年目からの16年間を5項目に分けて記載することになった。

 ここで、いきなり業務経歴を書き出すのは良くない。まず自分のこれまでの業務のたな卸しをする必要がある。Excelの縦軸に時間軸(1年単位程度)、横軸に所属、役職・立場、業務内容、課題、事業成果、その他(特許、学会発表、関連資格の取得、表彰など)を書き出していく。業務内容を見ていくと、オーバーラップする部分が必ずでてくると思うが、業務経歴では年数は重ならず、しかも隙間なく記載していく必要があるので、ウソにならない範囲で(会社に証明をもらう必要があるので)数年後ごとに業務内容を区切って5つに分けていく。この部分は自分のこれまでの業務を振り返るよい機会になるし、今後も役に立つので、時間をかけて損はない。

 このように棚卸しした業務を5項目に分けて書いていくが、最も重要な点としては、業務を経ていくごとに何らかの成長が伺える記述にすることである。より難易度の高い課題に取り組んだ、より広範囲の課題に取り組んだ、技術領域を広げた、個別課題から組織や全社的な課題に取り組んでいった、というようなことである。逆に業務年数を経ても、対象が少しずつ変わっただけで、大して変わらないような記述が続くと、「技術者としての成長(=CPD)がうかがえない」として、口答試験で厳しい試問が続くことになりかねない。

 もう1つ重要な点は、「○○の研究」などとあっさり書かずに、字数(51文字)の許す範囲で具体的な立場や事業成果(性能向上、品質向上、生産性改善、コスト改善など)や成果物(特許、学会発表など)が分かるように記載してできるだけアピールすることである。試験官は、この申込書/経歴書と試験の答案しか、あなたに関する情報はないのである。必死になって最後の1文字まで情報を埋め込むようにしよう。

 技術士の業務は、「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者」であるので、各業務の内容は、これらの(計画、研究などの)ワードで終わるようにする。「開発」は無いので注意する。

 その他注意したいのは、アピールしたいからといって、実際より過大な内容を記載しないことである。試験官が知りたいのはプロジェクトの成果や事業規模ではなく、あなたが担当者、責任者として主体的に実施した内容である(これは後述の「業務内容の詳細」でも同様)。

 業務経歴を書くにあたっての最後のポイントとしては、ウソにならない範囲で、従事期間はキリのよい数字にしておくことである。具体的には期間は6ヶ月単位(できれば1年単位)にしておいたほうが、口答試験のときの説明でも思い出しやすいし、覚えやすい。下名の場合は16年間をくっきり、2,2,5,5,2年で区切った。口答試験のときはただでさえ緊張しているし、和暦にも普段なれていないので、無用なプレッシャーのもとは予め絶っておくほうがよい。

 長くなったので、業務経歴詳細は次の記事に譲ろう。


技術士2次試験受験申込書/経歴書の書き方(1)

 今年2次試験を受けられる方はそろそろ受験申込書の準備にかかっている頃だろう。記入要領は技術士会の指示に従うには言うまでもないが、忘れないうちに、申込書記入上の注意点や工夫などをまとめておく。お役に立てれば幸いである。

技術士会HPによれば、H26年度の2次試験の受付は以下の通りである。
 受験申込書配布期間 平成26年4月1日(火)~5月8日(木)
 受験申込受付期間 平成26年4月14日(月)~5月8日(木)

 4/1になればHPに申込書がアップされるので速攻でDLして、書類作成にかかろう。そのためには記入内容を十分吟味しておく必要がある。そしてもし近くに技術士の方がいれば(できれば2名以上)、その内容に何度もコメントをもらい、推敲していく必要がある。自分が思っているほど、全く「書けていない」と謙虚な気持ちで臨むことが重要である。

 さて添付の画像は制度が変わった初年度のH25年度の様式だが、おそらくH26年度も同じ様式だろう。その点は昨年度よりも準備がし易いに違いない。

 配布される様式は、テキストが所定文字数記入できるPDFになっているが、このままでは多少使いづらい。特に2枚目の業務内容の詳細のところで、デフォルトの様式のままでは、720字かつかつしか入力できなくなっているので、パラグラフごとに空白行を入れて見やすくするようなことはできない(できるが、記入可能字数が減ってしまう)。また、ボールドや下線といった文字装飾も使用できない。
 そこで下名の場合は、フリーのPDF編集S/W(PDF-XChange Viewer)に透明のテキストボックスを貼り付けて記入した。これにより非常にみやすい仕上がりになった。
 このような装飾がOKであることは確認済みであるし、下名自身もこれで書類を受理され、合格もしているのでご安心を(もちろん、字数制限は守るように!)。

 さて、1枚目は申込書になっている。こちらは指定の要領どおり記入していけば問題ないが、「専門とする事項」は吟味してほしい。大事な点は、①受験する技術部門に合致した事項になっているか、②あまり長すぎないようにすること、である。①は技術士会が例示している選択科目の内容の中から(例えば「経営工学-数理・情報」なら「統計・信頼性技法」など)選べればそれにこしたことはないが、ぴったり当てはまらない場合は、自作してもよいことになっている。②は字数制限以内なら何文字でもよいのだが、筆記試験のときに、原稿用紙1枚ごとにそれを記載する必要があるので、簡潔かつ自分の専門とする事項にあてはまるワードを厳選したほうがよい。下名の場合は業務経歴の内容と考え合わせて「品質工学・SQC」とした。

 1枚目については、あとは年号を和暦にすることを忘れない程度で、特に問題はないだろう。長くなったので2枚目の経歴書は次の記事で述べる。


2014/03/09

論文再現:H25技術士2次試験(経営工学-数理・情報) Ⅲ-1

学習者への支援になるかと思い、下名の試験再現論文を公開する。判定はすべてAであったが、60点以上というだけなので、これで十分かどうかは分かりかねる。ただし、口答試験では全く回答論文に対する疑義はなかったことは情報として付け加える。

問題Ⅲは2問中1問選択で、600字詰め原稿用紙3枚。時間は2時間。
ビッグデータのデータマイニングに関する問題と、新製品における市場品質データに関する問題とが出たが、前者を選択。

今年から問題の形式が少し変わったが、小問に分かれているので、何を記載すべきかは分かりやすくなった。小問で問われている1つ1つの内容に的確に答えていくことが重要である。また、見出しの数が多くなるので、アンダーラインをつけるなどして、見やすくすることも必要。分量が多いのでまず見出し(目次)を考えてから、各節の行数を見積もりながら書いていく。箇条書きを多用することで、見やすくなり、文字数の調整もしやすくなる。

3枚問題では、「1.はじめに」で主題のテーマに対する背景や定義などを述べ、最後の節「おわりに」で本技術部門の技術者としての抱負を述べると収まりがよい。


(問題文は技術士会HPより引用)

再現論文(判定A)

1. はじめに
 ビッグデータとは、単に大容量というだけでなく、①解像度が高く個別要素に関し、②リアルタイムなど生成・取得頻度が高く、③非定型・非構造であるため、結果として大規模になるデータをいう。
 近年、電子商取引データ、ブログ・ツイッター等のライフログデータ、監視用等の動画データ、位置情報等のセンサデータが大量に生成・取得されている。
 また情報通信技術や解析ソフトウェアの進展により、ビッグデータを活用して、新しい有効な知見を得ようとする動きが強まっている。

2. ビッグデータから有用な情報を抽出するための手順
2.1. 手順の例
 (1)目的を明確化する。例えば、レコメンドサービス構築のため頻出パターンを抽出したいのか、動画やツイッターからイベントを抽出したいのか。
(2)解析精度を明確化する。
(3)データを吟味する。(次節で詳述)
(4)解析手法を選択する。
(5)必要に応じて、高速化・並列化を検討する。
(6)解を吟味する。現実や固有技術と合致しているか、専門家の意見も聞く。
2.2. 重要と考える項目
 私は(3)データの吟味が重要であると考える。その理由は、使用するデータの吟味は計画段階にあたり、適切なデータを用いないと、十分に数理的手法の効果を発揮できず、期待した効果が得られないからである。
 使用するデータがどのようにしてとられたデータなのか、欠測はないか、偏りはないか、離れ値はないかなどを吟味する。不正なデータは削除、補完などを実施する(データクレンジング)。必要に応じてデータの正規化や、数量化を行う。

3. 技術的課題と提案
3.1. 情報処理の高速化・短時間化
【課題】データが多くなるとデータの転送・計算等にかかる工数が大きくなり、計算時間が大きく、コストが大きくなるという課題がある。またこれによって意思決定が遅延するという課題がある。
【提案】①統計的な誤差に留意しながらデータサンプリングを行うことを提案する。また、②数理計画問題を部分問題に分割して並列計算することを提案する。さらに、③費用対効果を勘案して、計算の並列化(グリッドコンピューティング等)を提案する。
3.2 個人情報・プライバシーへの配慮
【課題】個々のデータベースでは個人を特定できなくとも、複数のデータベースを照合することで個人が特定できる場合があり、個人情報やプライバシーの問題に配慮することが課題である。
【提案】①個人データの削除、統計化、公開や使用の遅延を提案する。②また協調サンプリングのような、似た客をクラスタにまとめ選好をそこに帰属させるような考え方の活用も提案する。

4. 私の提案の効果と潜むリスク
4.1. 情報処理の高速化・短時間化に関して
【効果】情報処理コストの削減や、計算時間が速くなることでの意思決定の迅速化が期待できる。具体的には、新サービスや新ビジネスモデルを他社に先駆けて展開できる。
【リスク】グリッドコンピューティングを想定した場合、クラウド等の利用が想定される。その場合、ネットワークやホストのセキュリティーの問題や、EDo S攻撃による課金の増加などがリスクとなる。
4.2. 個人情報・プライバシーへの配慮に関して
【効果】これまで以上に広範囲の問題、例えばさまざまな社会問題(交通事故、自殺、犯罪等)の解決が期待できる。
【リスク】技術的対策だけでは個人情報の使用に対して社会的合意が得られないというリスクがある。国による法制化や第三者監視機関の設置が必要である。

5. さいごに
 ビッグデータを有効に活用し成果を挙げていくためには、データマイニングや数理的手法に関する高度な知識と見識が必要である。私は、経営工学部門(数理・情報)の技術者として、ビッグデータの活用およびその指導に邁進する所存である。     以上

(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)

論文再現:H25技術士2次試験(経営工学-数理・情報) Ⅲ-1-3

問題Ⅱは3問(4枚)で2時間と非常にタイトな回答時間で書いたもの。

4問中2問を選択する問題Ⅱ-1からは、直交表実験に関する設問(本問)を選択。

これは自分の専門分野。通り一遍の知識だけでなく、実務を通じての応用能力がにじみ出るような回答を心がけた。特に「樹脂成形工程」(実物実験)であることや、因子が10個あであることなどの設問の条件に注意して解答することが大切である。

(問題文は技術士会HPより引用)

再現論文(A評価)

1. 直交配列表実験のタイプ
 直交配列表(以下直交表という)実験の割り付け方のタイプには大きく以下の2通りがある。
①主効果のみを割り付ける場合:L12、L36などの非素数べき乗型直交表を用いる。
②主効果と交互作用を割り付ける場合:L16、L27、L32などの素数べき乗型直交表を用いる。

2. 可能な調査内容
(1)タイプ②の場合、交互作用が2因子間の交互作用が特定の列に現れるため、線点図などを用いて割付の妥当性を調査する。
(2)題意のような実物実験の場合、実験環境変動の影響が計測値に影響を与える。影響を軽減するための実験順のランダム化が実施されているかを調査する。
(3)成形品の実物測定において測定誤差が生じうる。測定方法や計器の精度などを調査する。
(4)誤差分散の自由度が小さいと、因子の効果が有意になりにくい。直交表空き列が十分確保されているか、そうでない場合は実験の反復を行っているか等、必要な自由度が確保されているか調査を行う。
(5)想定していない交互作用が、有意になると期待していた主効果に交絡した場合、正しく推定が行えない。特にタイプ②の場合は、想定していない交互作用がある主効果に交絡するため、そのような状況が発生していないかを調査する。         以上

(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)

論文再現:H25技術士2次試験(経営工学-数理・情報) Ⅱ-1-2

問題Ⅱは3問(4枚)で2時間と非常にタイトな回答時間で書いたもの。

4問中2問を選択する問題Ⅱ-1からは、在庫管理に関する設問(本問)を選択。

一見、「生産マネジメント」科目の問題に見えるが、「数理・情報」の専門科目の問題として問われているので、発注点や安全在庫量などの管理指標を数式を用いて説明する必要がある。1枚しかないので、必要な内容を手際よくまとめるに苦労した。
本再現論文では訂正しているが、1.節の文章で、定期と定量を逆に書いてしまった点は原点されただろう。2.以下の記載は特に問題ないはずである。

(問題文は技術士会HPより引用)

再現論文(A評価)

1. 2つの在庫方式
 横軸に品種、縦軸に使用金額をとったABC分析では、使用金額が多いAグループには定期発注方式、金額が少ないCグループには定量発注方式が適用される。

2. 定量発注方式
 【定義】定められた在庫水準(発注点)に達した時点で定められた量だけ発注する方式である。発注点=調達リードタイム×1日当たりの平均使用量+安全在庫量、安全在庫量=安全係数×使用量の標準偏差×√(調達リードタイム)で求められる。発注量は発注費用と在庫費用がバランスする経済的発注量を用いる。
 【特徴と留意点】発注業務や管理の工数が少なくて済むという特徴がある。一方、需要が安定した品目にしか適用できない点に留意する必要がある。
 【対象品目】需要が安定な文房具などの備品や、よく使用するネジなどの例が挙げられる。

3. 定期発注方式
 【定義】一定周期で需要を予測しながら、毎回異なる量を発注する方式である。発注量=調達調整期間の需要量+安全在庫量―発注時の在庫量―発注残となる。
 【特徴】需要の変動が大きい場合でも使用できるという長所がある。一方、発注毎に需要の予測が必要なため、管理工数がかかることに留意する必要がある。
 【対象品目】需要変動が大きい使用頻度が低い部品や、特注品などの例が挙げられる。以上

(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)

論文再現:H25技術士2次試験(経営工学-数理・情報)Ⅱ-2-2

問題Ⅱは3問(4枚)で2時間と非常にタイトな回答時間で書いたもの。

2問中1問を選択する問題Ⅱ-2からは、品質の早期安定化に関する設問(本問)を選択。
品質の早期安定化を問われているので、すでに得られているデータを使って早期に原因究明・対策を打つやり方と、新規にデータをとる場合には効率的に行う方法(実験計画法など)を用いるやり方の2通りに分けて論述した。パラメータ設計のところはもう少し書きたかったが、紙幅が足りず少し後悔した点(もちろん、消して書き直す時間などない)。
 また1枚や2枚でまとめる際は「はじめに」「おわりに」は不要で、単刀直入に設問に対して答えてゆけばよい。

(問題文は技術士会HPより引用)

再現論文(A評価)

1. 着手時に調査すべき内容
①製品、工程、特性値:例えばプリント基板のめっき工程において、めっき厚を安定させたい。
②問題の種類:品質のほかにコスト、納期、生産性等のトレードオフはないか。
③改善する指標の種類:標準偏差、不適合品率等。

2. 業務を進める手順と留意事項
まず要因の整理を実施する。4M1I(人、材料、機械、方法、情報)の観点、FTA(故障の木解析)での整理のほか、専門家の意見も聞くことに留意する。
次にデータを用いて品質不具合の原因を突き止めるが、既存のデータを用いる場合と、新規にデータをとる場合に分けて手順とその留意点を述べる。

2.1. 量産立ち上げ時などの既存のデータを用いる場合
 以下の方法で原因となる工程や特性値を突き止めて、原因を除去する等の対策を採る。
(1)管理図:特性値の管理限界を超えていないか、連(くせ)はないか等に留意して、改善対象特性値を特定する。マハラノビス距離を活用した多変量管理を利用して複数の要因がからむ現象について調べる。
(2)パレート図:不具合のモード別に度数を降順に計上して、対策の重点を決める。
(3)散布図:因子間の相関関係を知るとともに、異常データの存在も見える化する。
(4)重回帰分析:直接的に品質指標と要因(説明変数)との関係を調べることができる。この際、多重共線性(データセット数が要因の数より少ない、説明変数間の相関係数が高い)に留意する。この場合データセット数を増やしたり、似た項目の片方を削除したりする。回帰診断によってはずれ値がないか等のチェックを行うことも重要である。

2.2. 新規にデータをとる場合
 実験計画法を用いて、原因の候補となる要因と品質指標との関係を実験的に求めて、要因効果の大きさの分析等から原因工程、原因特性値を見出す。実験計画法の運用においては実権誤差に留意して、フィッシャーの3原則(反復、無作為化、局所化)を適用することが重要である。
また、工程の設計パラメータ(制御因子)と変動要因(誤差因子)の直積実験により、これらの因子の交互作用を利用して、直接的に変動要因の影響を減衰させる設計パラメータの設定値を見出す方法(パラメータ設計)も活用する。

2.3 結果の監視と標準化
 原因を除去したり、設計パラメータの最適化により、品質が安定化したかどうかを確認するために、一定期間、工程・製品・特性値を監視することに留意する。
安定化が確認できたら、変更後の運用方法が確実に守られるように、基準類などその内容を定めて標準化を実施することが重要である。       以上

(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)

2014/03/03

技術士2次試験に合格

おかげさまで、本日、技術士(経営工学部門)の2次試験の合格を確認しました。
下名が受験した「数理・情報」科目は、結局面接では全員合格の3名でした。

1次試験から2年(その前のQC検定1級からだと3年)の長い受験生活に、一旦ピリオドをうつことがきました。

今後は技術士に登録し、社内外で活躍できればと考えております。

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追記(3/6)
本日、合格証が郵送されてきました。さっそく登録手続きに移ります。^_^