2009/11/30

【今日の言葉032】

 情報システムを構築するときは、まず「何のためか」という目的が最初にあって、情報システムはその考え方を実現する多くの手段のうちの一つにすぎない、という、情報システムに関する目的論的な考え方は完全に間違いです。よく言われるように「金づちしか持っていない人にはすべてが釘の頭に見える」ということです。新しい道具を持つことで初めて見えてくる目的や問題もあるのです。情報システムは単なる道具ではなく、利用者に思考の変革を迫ることもあるのです。

#”情報システム”を”品質工学”と置き換えてもまったくそのとおり読めてしまいますね。
 1970年代生まれのためのエッセー集「Think or Die」より

2009/11/25

【今日の言葉031】

 多くの手間をかけなければならなかったから高い値段がつくのではなく、人々に必要とされているものだから高いのだ。
今やガソリン1リットルとの値段と、ミネラルウォーター1リットルの値段はほぼ90円で等しいという現実がある(しかもガソリンの値段のうち60円は税金である)。

#田口先生も「一生懸命働いたけれど,その成果がゼロだった時,その人の仕事量はゼロと考えるのである。仕事量は出力で測るべきで(力×時間)のような入力で測ってはならない」と仰っていましたね。
 ニーズに応えることこそがプロの仕事といえそうですね(ガソリンの値段は今は少し上がっているけれど)。
 「金持ちサラリーマン」より。

2009/11/24

京都・ル・サルモンドールと高台寺ライトアップ


 子供を預けて夫婦で京都に行った。今年は気温が高いのか、この時期でもまだ紅葉しきっておらず、色もまだら、このまま枯れてしまうのかという感じだった。

 昼は以前このブログでも紹介した、ワインとフレンチの京風町屋レストランの「ル・サルモンドール」。


今回のワインは、グラスで白がブルゴーニュ、赤がボルドー2002だったが、おまかせだったので詳しい銘柄は忘れてしまった(ぉぃぉぃ・・・ブログの趣旨が・・・)。

 やはりここは料理めあてということで、左上がオマールえびとかぼちゃのスープ、右上がフォアグラの大根・きのこ添え、左下がイトヨリとブロッコリーのバジルソース・タプナード添え、左下がメインで鴨ローストの京野菜いろいろ添え。これにパン3種とデザート(りんごのクレームブリュレとラムレーズンアイスクリーム)にコーヒー、お茶菓子がついて、5250円(税込み)。
 これまでペースト状のアン肝のようなフォアグラしか食べたことがなかったが、これはまさにクセのないフグの白子のよう(でもプリン体が・・・あぁ)。あと、メインの付けあわせだった京野菜の美しいこと、甘いこと。。
 夜は高台寺(清水寺のすこし北より)の紅葉のライトアップを見に行った。入門するのにも大変なすごい行列だったが、なんとか1時間待ちで中に入れた。

 三脚禁止なので夜景撮影には厳しかったが、なんとか人波を掻き分け、池のまわりの杭の上にカメラを固定して 、それらしい写真を撮ることができた。最近みた景色の中では最高だった。








【今日の言葉030】

 自分の最終的なゴールや次の目標にこだわるよりも、自分の目の前に現れたチャンスを活かす。脈略がなくてもいいから、面白いと思ったら次にはそれをやってみる。仕事で生まれる人間関係をうまく活かすということも重要です。キャリアというのは社内、社外問わず、人と人との出合いによって広がっていくという部分もあります。

#この10年間、キャリアというものをそれほど考えずに、目の前のチャンスを生かしながら、人脈も広がってきたように思います。「プレジデント」より引用。

2009/11/20

【今日の言葉029】

 仕事が与えられるものだと思っているうちは面白い仕事を探すことになってしまいます。が、自分で作るものと発想を変えて、面白い仕事を作ってしまえばいいのです。自分で面白い仕事をつくっていくと、その後に残った面白くない仕事は、なるべく仕事を避けて面白い仕事をただ待っていた人に回っていくわけです。

#雑誌「プレジデント」より

2009/11/19

【今日の言葉028】

 若者が活力を持つためには社会から馴致(飼い慣らし)されないこと。それには自分で自分の倫理を手製でつくりあげなければならない。整然と堅牢にである。でなければ社会に負かされ葬られる。

# 司馬遼太郎の言葉。

2009/11/18

【今日の言葉027】

 読書量の多い人は、経験がなくても短期間で開発作業の勘所をつかみ、質の高い作業を行える。
 事前に覚えておけることには限りがある以上、より求められるのは沢山知っていることではなく必要が生じたときに説明を読んで理解できることだ。

#と、いうことで少しは乱読も雑学以上の役には立っているのでしょうか。
 メールマガジン「インターネットを読み解く」より

2009/11/16

品質工学入門10周年

 今月で初めて品質工学の存在を知って丁度10年になる。99年11月に、機械学会関西支部のセミナー(TM, TRIZ, QFDの概要が2日で分かる、といったような内容だったと思う)で、Kazz先生こと原和彦先生の講座でタグチメソッドを知ったのだ。

 上司からの勧めで聞きに行ったのだが、タグチメソッドといっても実験計画法のことだと漠然と思っていた。しかしその先入観は原先生の最初の一言で打ち砕かれることになる。

 「あなたがたがやっているのは技術開発ではない!」

 衝撃を受けた。いったいタグチメソッドとは何なんだ!?先生の話はツカミだけでは終わらない。下名が最も衝撃を受けたのは、技術工学で経済性が扱えることだ。つまり、損失関数に魅了された。こんな考え方があったのか!!(・・・しかし、損失関数の本当の意味や、それを実社会で運用する大変さは後ほど痛いほど分かってくるのだが、それはまた別の話・・・)

 損失関数だけでは話は終わらない。コンデンサの評価の例だったか、たくさんの品質特性を評価しなくても基本機能を考えれば1つの特性で評価でき、改善も1つの特性でできるだと・・・? しかもSN比という指標で比較すれば、短時間で寿命に匹敵する評価もできるとは・・・。 なに?直交表という実験の組み合わせの表を使うと、たくさんの因子を一度に評価できるだと・・・? それなら、今やっている○○の仕事はこれを使えばうまくいくのではないか・・・??

 ちょうどタイミングがよかったのだろう。この頃、下名は生産技術の研究所にいて、製造現場と量産品を相手に四苦八苦していたのだ。頭も使うが、とにかく5ゲン主義、足で稼ぐ仕事だ。そのなかで得たことももちろん多かったが、それでも悪い言い方をすでば、問題が発生してからの場当たり的な対応が多く、それに漠然と疑問を感じていたのだ。もっと、見通しよく仕事を進められないものか。。。

 そのような、漠然としつつも問題意識が芽生えていたことと、製造現場でばらつきと悪戦苦闘していたこと、そして生来のシステマチックな考え方が好きなこと、そして原先生の一撃が化学反応して、いっきに品質工学の道に魅了されていった。その日のセミナーが終わるや、梅田の紀伊国屋ですでに「品質工学講座1」を手にした自分がいたのだ。とにかく、もっと知りたい一心だった。

 それから10年、試行錯誤と独学で品質工学を学んだ時期、研究会や学会に参加して切磋琢磨した時期、会社で組織を立ち上げ開発・普及に精を出す現在・・・その時々でレベルや考え方も少しずつ変わってきたが、それでも10年間全くこれでいい、と思えることなく、またほかの方法論も勉強するけれどそちらに浮気することもなく、まだまだ勉強の日々が続いている。

 今後も品質工学を続けていくことになると思うが、得たものの中で一番かけがえのないのは、社外の人脈である。高名な先生方や著者の方からいろいろ教えていただいたり、励ましを頂いたり、また楽しくも厳しい研究会の仲間と切磋琢磨したりできることは、1つのことを少なからず突き詰めてきたからだろうと思う。 またそうすることで、ほかの分野の技術や手法、哲学的な考え方にも自然と興味がもてるようにもなった。

 品質工学は「道」であり、生涯学習であると感じている。

2009/11/15

【今日の言葉026】

最高の笑いは、自分に自信があるために、自らを笑うことのできる人の笑いである。





#もし、自分を笑うことが出来れば、どんな悩みも和らぎますね。

 オグ・マンティーノ「人生を語る」より。

2009/11/14

【今日の言葉025】

自分のためだけに、心の狭い楽しみをひたすら追い求めた結果訪れる幸福は、次元の低い幸福だけです。

広い考えを持ち、自分ばかりでなく世の中の他の人々にも関心を示して初めて、次元の高い幸福を手にすることができるのです。



#品質工学を楽しみとしてライフワークにできるといいですね。
 英国の作家 ジョージ・エリオットの言葉。

2009/11/12

「設計科学におけるタグチメソッド」レビュー


 遅ればせながら2008年10月発刊の、「設計科学におけるタグチメソッド」(椿広計, 河村敏彦著)を読んだ。
 前半はタグチメソッドの統計学からの解釈であるが、異なる表現方法でタグチメソッドを眺めなおすと、自分の知識を再整理するのに役立つだろう。タグチスト向けへの配慮ということもあるのであろう、難解な数式の羅列という印象ではなく、統計の門外漢の下名でもなんとか筋を追えた(2重非心F分布が出てこなくてよかった・・・)。

 後半は著者らによる新しいモデル(乗法モデル:y=εβM、2乗対数損失関数、その損失関数にもとづくSN比)の提案である。非常に大雑把に言えば、品質工学では β^2/σ^2 の対数をとることでパフォーマンスの測度加法性を確保していたのに対して、著者らの提案は、各データをそれぞれ信号値で割った誤比つきの傾きε・β(有害成分)にしたものと、、傾きβの幾何平均(有効成分)の比を考え、その対数の二乗和で損失を総合する尺度である。これはSN比が無次元化でき、信号のスケールの影響を受けない。また、βの変化率の対数の世界で、2次損失関数と整合する。

このようなSN比は、
 (1)新しい機能モデルや損失関数の定義からスタートしていることや、
   そのことによるこれまでの事例との整合性の問題や、
 (2)データ数の違いによる影響
   (1/(nm-1)で割っているので少なからず影響を受ける)、
 (3)信号・出力が小さいところでのβ(本書ではy'ij)の精度の問題
などの課題が想定されるが、筆者らの仮定にもとづく論理展開は明快であり、一定の妥当性はありそうである。

 本書の中でも強く賛同したのが、6章(p.173~)における最後のくだりである。
「この種の方法論(ここではタグチメソッドのこと※下名注)全体が依拠している原則を仮説することで、パラメータ設計は自律的に進化可能になると考える。 また、これらの原理を前提とすれば、タグチメソッド自体を設計科学的に検証する方法論も確立できる。(中略)このようなことをはじめなければタグチメソッドの方法論的進化のPDCAが回らないのではないか・・・」

 品質工学の考え方が独善的にならず、反証可能なものであるためには、新しい提案に対する評価方法(メタ評価技術)の研究が期待される。これは現在のRQESの課題といってもよいと思う(これについては後日)。

 宮川先生の著書同様、品質工学に対する深い見識に基づいて著されたものであり(と下名が評するのも僭越であるが)、「統計家嫌い」の諸氏にもご一読を勧めたい。

【今日の言葉024】

対人態度=表情×55%+音声×38%+会話×7%



#まず表情だけでも何とかしてみると、そのうち全体がなんとかなってくる・・・かも。

2009/11/11

【今日の言葉023】

真の幸福は現在を楽しむことだ。希望や不安で気を散らせ、ひたすら将来に望みを託すのではなく、無欲であることで自分がすでに十分持っているもので満足し、泰然自若として暮らすことだ。



#古代ローマの賢人セネカの言葉。

2009/11/10

【今日の言葉022】

自分の人生の恵まれた点を列挙し、それに値段をつけてみると、自分がどれだけ豊かか、どれだけ有利か気づくはずである。

#オグ・マンディーノ「人生を語る」より。

2009/11/05

「品質工学の定義」の向こう側へ

 田口博士の「品質工学会の役割は、品質工学を定義することです」なる課題は、品質工学会(以下RQES)発足時の田口博士の言葉であり、現在もなおRQESの活動のより所となっているようである。

 この言葉の真意について、下名は以下のように考えるようになった。まず、どんな学会でもよいが、たとえば物理学会が、物理学の定義をその目的とすることはない。物理学とは何かが定義された上でそれについて研究するものが集うのが物理学会であろう。なので、学会外部の定義によりある程度明確なものを、その名称をもつ学会で定義する、しかもそれが自己目的化するというのは、循環論法である。田口博士がそのような無意味な発言をするとは考えられない、真意は何か?というのがこの論考の主題である。

 現在のRQESにおいては、田口博士が意図したことを忠実に実践・検証していくことに重きが置かれている。第一レベルでは田口博士の提案した方法論(これをタグチメソッドと言ってもよいがMTシステムも含めてよい)の実践と検証であり、第二レベルではその方法論を逸脱しない範囲でブラシアップする評価技術の改善、第三レベルではマネジメントを含めた社会への品質工学の実装とそれによる社会的損失最小化への貢献、であろうと思われる。

 しかしこの枠組みではすでに「品質工学」とは「田口博士の提案した方法論で、その内容は云々」という定義から外に出ることはなく、教科書的には定義は自明なのではないかと思われる。MTシステムに代表されるように、方法論がカタログ的に今後も増えていくことはあるだろうが、「田口博士の提案した方法論」枠組みは変わらない。

 よってこの方向性を続ける限りは、田口の方法論として(少なくとも形式的には)自明なものをその名称をもつ学会で定義するというのは、冒頭で述べたように循環論法になっている。ここが疑問の種である。

 一方、田口博士の提案した方法論をたたき台としてもっと上位の目的、つまり田口博士ありきではなく、よりよい(「よさ」の定義も含めて)品質評価技術の確立という目的に向けて研究していくのが、田口博士個人を超えたRQESの目的だ、という方向性も考えられる。

 そこで必要になるのは、田口博士の提案とそれ以外の提案を比較するための、評価技術の評価技術(メタ評価技術)である。この場合、従来田口博士が提唱してきたところの品質工学の範囲を広げて考えることになるので、RQESで新たに「品質工学を定義すること」を議論することに意味が見出せ、それはとりもなおさず新しい評価技術へのさらなる進展であり、メタ評価技術の創出になっていくのではないだろうか。

 この方向性をもってしても、田口の哲学である社会損失の総和の最小化の哲学や、ましてや田口博士のこれまでの輝かしい実績が否定されることはないと思うのであるが、いかがであろうか。


#念のため注意:ここでは、下名らが提唱するエネルギー比型SN比がその新しい評価技術を担うなどと論じるつもりはない。よい評価技術とは何でそれを判断する枠組みや、そのような議論が出来る俎上がまず設定されるべきではないか、という論である。

2009/11/04

【今日の言葉021】

大きなことを言って失敗しても「ごめんなさい」と謝ればいい。
「失敗したら恥ずかしい」と卑下するのはつまらない見栄やプライドのため。

#反省なく同じ間違いを繰り返すのは考えものですが、「未来志向」と割り切っていくことが大切ですね。

2009/11/03

【今日の言葉020】

悩むより前に行動してしまうと、状況が変化して改善していく。

#とにかく、具体的に行動すれば、具体的な結果が出ますね。