2009/03/24

交互作用があるとTMは設計できない?

 「タグチメソッド適用時には、”設計因子に交互作用がないといけない”という大前提が存在しているのでしょうか?」という質問を受けた。

 TMでは機能を考えるのであるから、対象となるシステムの前提はない。ただ、設計パラメータに交互作用があると、下流の再現性が不確かで市場でトラブルを起こす可能性があるので、そのような設計を避けるために、設計のの悪さをあぶりだす方法を、TMは提案している。設計がうまくいくかどうかや、設計パラメータの交互作用の有無は、TMの大前提ではなく、「評価対象」である。

 この質問者に限らず「TMは交互作用があると設計できない(からダメだ)」という大誤解があるように思う。設計できないのではなく、設計してはいけないと言っているだ。そしてそのような悪いな設計を未然にチェックできるのは、おそらくTMだけである。

 ほかの設計方法は交互作用ありきで設計するので、そもそもそのような設計が市場でトラブルになって損失を増大させるという考え方にすら至っていないのだ。

 このような質問を見るにつけ思うのは、大方の設計者は、「システムありき」で考えてしまっているので、前提などというものを想定してしまう。先に答え(見本、海外の先行事例、従来設計・・・)があるものとして、その既成のシステムの設計パラメータに交互作用があるかどうか、なければ使えないのか、という「ツール的な」発想になるのだ。

 ほとんどの設計は流用設計で、そういうところはチューニング、編集設計が中心問題で、そこに無理やりシステムありきでTMを適用しようとするので「交互作用があるので設計できない」となってしまうのである。TMは設計ではなく、もっと源流の技術開発で使用しなさい、と言っている。チューニングなら応答局面でもなんでも使えばよい話だ。

 TMが物事をツール的にしか捉えられておらず、肝心のTMの目的(市場でお客に迷惑をかけない、トラブルを出さないためにどうすればよいか)が抜け落ちてしまうと、TMの本質が理解されず、その結果として、このような質問がでてくるのだと推測する。

 いろんな人がいろんな目的でセミナーをやるのでいろいろあるわけだが、某I社のコンサルタントNさんは、現状を「TMの崩壊」とおっしゃっていた。

2009/03/22

本田宗一郎「ざっくばらん」にみる技術哲学

 田口玄一博士、トヨタ自動車最高顧問の豊田英二氏とならんで、日本人で米国自動車殿堂入りした、戦後を代表する企業家、技術者である本田宗一郎氏の、”幻の第一作”と言われていた昭和35年の書を復刊したのがこの「ざっくばらん」だ。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%96%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%81%B0%E3%82%89%E3%82%93-%E6%9C%AC%E7%94%B0-%E5%AE%97%E4%B8%80%E9%83%8E/dp/456970316X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1237818178&sr=8-1



田口哲学との共通点も多いく興味深いのでいくつかご紹介しよう。 『  』が引用(または要約)部。

『技術は、哲学の結晶である。哲学のない技術は先人の亜流から抜け出ることはできないし、哲学があればそこから独創性も生まれる』
---技術には独創性と効率性が必要である。前者を固有技術といい、後者を品質工学では汎用技術といっている。技術に独創性が必要なのはもちろんだが、その評価の効率にまで哲学の目をむけ、具体的方法論としてもう半世紀も前に田口博士は提案しているのだ。また技術は亜流ではいけない。田口博士は技術はアートや流儀だと仰っているし、また何を研究するかが最も大切だとも言っている。


『人間を本当に理解するのが技術の根本原則。職人や技術屋は人間に必要だから貴いのであって、もし何の役にも立たないものだとしたら、何の価値もない。人間勉強をしないような技術屋は本当の技術屋ではない。』
---理論が高尚かどうかではなく、役に立つかどうか、で判断するということである。確か、品質工学会発足時に、田口博士は「どちらが正しいかではなく、どちらが効率的かで議論願いたい」と仰ったはずである。技術開発を効率化すること、そして市場でトラブルを起こさないこと、この目的論から品質工学という実学の技術哲学が構築されている。


『職人と技術者の違いは、過去を大事にして、そればっかりにつかまっている人が職人。同じ過去でも、それに新しい理論を積み重ねて、日々前進する人が技術屋だ。』
---田口博士はよく、技術者ではなく技術屋という言葉を用いる。新しい発明や手段に対する評価の方法、実験的に新しいシステムを確実に選び取る方法論・・・技術の「創造性」を支える「効率性」を表裏一体で考えるのが技術屋というわけだ。効率性を考えないいわゆる技術バカではいけないということだ。

2009/03/15

【創作フレンチとワインの店】ル・サルモンドール



 京都でイチオシしたい店が、東山は祇園新橋にあるル・サルモンドール。



 周りは簾の町屋や石畳の風景でいかにも京都というところで、TV撮影や写真愛好家もよく出没する地域。辰巳神社の前に、町屋を改造した、でも内装はすごくモダンなここは、地の京野菜をふんだんにつかった、和風創作フレンチをワインとともに楽しめる店だ。

 オススメはお昼のコースで一人5000円。ランチでこの値段!と思われるかもしれないが、料理に関しては値段以上の価値があると言い切ってよい。1つ1つの材料にこだわり、味も盛り付けもすべて満足がいく。写真はメインを鴨のローストにしたコースで、その日によって2種類の中から選べる。

 この店のウリはやはりワイン。このときにお願いしたのが、シャトー ラセーグ サンテミリオン グラン・クリュ(Chateau Lassegue Saint-Emilion Grand Cru・・・しまった!ヴィンテージが分からない! ^_^;)。ボルドーの中でもサンテミリオンのワインはお気に入りで、このときもリクエストさせていただきました。(ワインのほうは結構値段は張ります・・・このワインでグラス1500円くらいだったかな )

味と雰囲気は絶対オススメできます・・・しかもソムリエの女性が超美人!とあってはこれは行くしかないでしょう!

人気なので予約をお忘れなく!

【北海道スポット】美瑛の観光農園(ぜるぶの丘)



 美瑛には美しい観光農園や花畑が多く、そのほとんどが無料で公開されている。旭川方面から237号線を南下して美瑛に向かうと、まず最初に沿道に見えてくる大規模な農園がここ、ぜるぶの丘だ。

http://biei.selfip.com/index.htm

 一応、撮影した写真を載せてみたが、上のリンクを見ていただいたほうがよいだろう。

 美瑛(美馬牛)といえば、かんのファームが有名だが、ぜるぶの丘のほうがおそらく規模が広く、また写真右下のような広大な広場があるので、子供づれで遊びに行くにはこちらをオススメする。

 もちろん、観光農園だけでなく、美瑛には美しい景色のスポットが点在しているので、先の美瑛手作りマップを片手にあちこち回ってみよう。誰でも写真家気分になれるはずだ。

【北海道スポット】礼文島(澄海岬・桃岩・利尻富士)















 道北のほうはめったに行く機会がないのだが、2008年は伊丹から羽田経由で稚内空港に入り、10年以上ぶりになる「花の島」礼文島に赴いた。

 小さい島だが北端の澄海岬(写真1つ目:下名撮影、とにかく海が青い!)から南端の桃岩展望台まで車で見て回ってもいろいろとスポットがあり、稚内からフェリーでの日帰りはもったいない感じだ。桃岩から対面の利尻富士の絶景が見える(写真2つ目:下名撮影)。道北は天気に恵まれないことが多いのだがこの日は快晴で、道北まで足を延ばしたかいがあったあったというもの。

 1日目に礼文島についたのがもう夕方ちかくだったので、プチホテル・コリンシアンに宿泊。料理自慢の宿で、海鮮を中心とした創作フレンチを堪能した(写真3つ目:下名撮影)。少しお高めの宿だが、料理の内容を考えれば十分納得。

 次の日はまた夕方のフェリーで稚内に戻り、ノシャップ岬の夕日を見た(写真4つ目)。道北は来るのが大変だし、次のスポットまでの移動の時間もとられるので、時間が十分あるときくらいしか行けなかったのだが、少し時間的に贅沢をして来た価値が十分にあったと思う。