2006/05/21

金の卵を産むガチョウの話

忙しさにかまけて1ヶ月以上もBlogをサボってしまった。
このままではズルズルと行きそうなので、ちょっとしたことでも書き連ねていきたいと思う。
まあ個人の戯言のページなので気長にお付き合い願いたい。

 さて、少し古い本になるが、会社の人材開発部門の人の薦めで「7つの習慣」(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4906638015/250-6570295-6006642)を貸していただいて読んでいる。今回はこの本の内容に関する話ではないのだが、この中にグリム童話の金の卵を産むガチョウの話の一説が出てくるので紹介したい。

 話のあらすじはこうだ。ある農夫がガチョウの巣に金色に光る卵を見つけた。何かの冗談だと思ったが農夫はそれを市場に持っていた。それは純金でできており、農夫は大金を手にしたのである。来る日も来る日もガチョウは毎日1つずつ金の卵を産み続け、その農夫は卵を売ることで大金持ちになった。ある日富豪になった彼は考えた。毎日1個では面倒なので、ガチョウの腹の中にある卵を一気に手に入れようと。そしてあろうことか、彼はガチョウを殺してしまったが、腹の中にはなにもなかった。彼は金の卵もガチョウも失ってしまったのである。

 このことを引いて本書では、黄金の卵(P:Performance)とガチョウ(PC:Performance Capability)のバランスの大切さについて述べている。企業においては金の卵は短期の成果、ガチョウは長期の成果ということであろう。

 工程内合格の製品を出荷するのは、目先の納期遵守や工程内不良率の向上には功を制するだろう。しかしこれが機能性を無視した製品ならどうか。市場での故障が多い製品は結局お客にも企業にもコストがかかることになり、社会的に損失を拡大する。目先の金の卵をあせったばかりにガチョウを殺してしまうことになりかねない。この逆も真で、過剰品質・過剰性能にこだわった長期間の研究開発も非効率である。短期の回収ができず企業のキャッシュフローが悪化するのも社会的損失であろう。

 前述のように、要はPとPCのバランスなのである。品質工学ではこれを「損失関数による社会的損失の最小化(企業とお客のロスのバランス)」という観点で明確に提言している。このようなことからも、企業の一員である技術者や経営者と、お客の集合体である社会とのつながりを考えることができるだろう。品質工学では、さらに(というかこちらが本論であろうが)、「研究開発の効率化・合理化のための具体的方法論」を提言している。これはさしずめ、いかにガチョウを疲れさせず、多くの卵を取り出すか、元気でよく卵を産むガチョウをどう育てるか、という総和の拡大の話である。

 コヴィーの「7つの習慣」はまだ読み始めたところであるが、ドラッカーやタグチがそうであるように、本質をついたものというのは、深い部分で一致しているように感じる。そのうち、技術開発における7つの習慣が品質工学である、というようなレポートが書けるかもしれない。これも個人の戯言ということで、期待せず気長にい待ちいただきたいところである。